通学時間にYouTubeを見ていたら“成績上位”に 今季2勝の「東京大学野球部」主将・杉浦海大が語る“令和の文武両道”
東大・宮台康平投手の活躍に憧れ、湘南高校に
難関校で充実した日々を過ごす杉浦選手に転機が訪れたのは、中学2年生で迎えた2017年秋のことだ。
この年の東京六大学で、エース宮台康平投手(当時4年)の粘投もあり、東京大学が15年ぶりに勝ち点を奪取。同年秋のドラフトで北海道日本ハムの7位指名を受けた左腕の勇姿に感銘を受けた杉浦選手は、その背中を追う決断を下す。
「宮台さんの活躍をきっかけに東大野球部の存在を知り、勉強と野球を両立できることに気付かされて、僕もその道を目指してみたいと思うようになりました。宮台さんのプロフィールをだんだん掘り下げていくと、自分と同じ神奈川県出身で、湘南高校を卒業していることがわかって。中学3年の春頃には、湘南高校を受験しようとする気持ちが固まっていました」
宮台氏は2022年限りでプロを引退したが、それから3年を経た今年11月、司法試験に一発合格したことが話題となった。まさに“文武両道”のお手本のような存在と言える。
だが、既に中高一貫の市立校に通う杉浦選手の挑戦は、受験をせずに済む一貫校最大のメリットを失うこととなり、一見無意味なようにも思われる。
実際に担任との個別面談で「君は浅はかな選択をしていないか?」と問われる場面もあったそうだが、それでも杉浦選手の決意が揺らぐことはなく、数学のオンライン予備校以外は独学で勉強を続けた末に、湘南高校の合格を手にした。
肩の強さを生かし、捕手転向を決断
神奈川県内屈指の進学校としても知られる湘南高校だが、過去には神奈川県の公立高校としては唯一の夏の甲子園全国制覇を成し遂げた実績を持つなど、スポーツも盛んだ。
公立高校の強豪も多く、国内屈指の熾烈な戦いが繰り広げられる夏の県予選を勝ち抜くために、入学後の杉浦選手は、厳しい練習とレギュラー争いに巻き込まれていくこととなった。
「最初の頃は体力がなさすぎて、野球の上達よりも、どうすれば気絶せずにその日の練習を終えられるかどうかという状況でした。高校時代はよく走らされ、たくさん怒られもしましたけど、そのおかげで根性が付きましたし、不条理に思えるような状況を乗り越える術も身についた。人間的に成長させてもらったなと思います」
野球に明け暮れた3年間をそう振り返る杉浦選手は、「肩が強く、同級生に誰も経験者がいなかったのでチャンスが増えると思った」ことから、高校入学後に捕手転向を決断する。
「最初は投手にサインを出し、投げたボールを受け止めるだけで精一杯の状況が、入学して2年くらいは続いたように思います。自分の目指す捕手像を探そうと、SNSなどを見たりもしましたが、正直どれも“ピン”とこなくて。長い時間をかけて公式という正解を導き出す若き日の天才数学者のような日々を過ごしました」
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