ロシア入国禁止リストに「日本人カップル」が! そうそうたる面々に名を連ねることになったワケ

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現場の記者まで対象に

 改めて数えてみると、今回で5回目。合計で499人である。11月11日、ロシア外務省がウクライナ侵略を巡る日本の制裁に対抗して、邦人30人の入国禁止を新たに発表した。

 対象者には東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠准教授や拓殖大学の名越健郎客員教授の名前もある。二人とも戦争が始まって以来、手厳しくロシアを批判してきており、今頃になってリスト入りするのは不思議である。また、今回は現場の記者までが対象になっているのも特徴だ。

 その小泉准教授が言う。

「ご存じのように最初の入国禁止措置は2022年5月。当時は、岸田文雄首相から始まって読売新聞、産経新聞、日経新聞の経営陣など、政府や組織の上層部が入国禁止になったイメージがあります。その後、国会議員や財界人が追加されたのですが、今回は日経新聞のジャーナリストが多い(9人)ことも気になるところです」

 30人の中にはクレーン車などを扱う「DENZAI」という会社の社長の名前もある。同社は今年5月、ウクライナの復興支援のため、現地に子会社をつくっているが、これがプーチン大統領の気に障ったのだろうか。

「まったく気にしていません」

 また、一見ロシアと関係なさそうな人物も。「インド太平洋人権情報センター」の石井英俊氏と「フリーチベット福岡」代表の石井陽子氏で、二人は夫婦だ。

 そこで、ご主人の英俊氏に聞いてみると、

「もともと私たちは中国政府に抑圧されている少数民族を助ける活動をしてきたのですが、その中に“南モンゴル問題”というのがあります。モンゴルは中国によって南北に分断され、南モンゴル(内モンゴル自治区)は民族自決の権利を奪われているのです。ロシアにも同様の問題があって、ブリヤート共和国のモンゴル民族が抑圧されてきました。ウクライナ戦争でも、多くの兵士が駆り出されています」

 プーチン大統領がウクライナ侵略の口実として、ロシア人とウクライナ人が同じ民族であるという一方的な民族観を振りかざしているのはご存じの通り。

「その一方で、ロシアは多くの少数民族を抱え、40以上の独立運動があります。そのことを改めて知ってもらうため、昨年9月『やがてロシアの崩壊がはじまる』という本を出版しました」(同)

 なるほど、それで入国禁止リストに入れられたわけだ。感想を聞くと、

「前駐日ウクライナ大使から、お祝いのメッセージを頂いたほどで、まったく気にしていません」(同)

週刊新潮 2025年11月27日号掲載

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