「体育は苦手、勉強もやる気になれず…」 “夢中になれるものがなかった”小林幸一郎がパラクライミングで世界一になるまで(小林信也)

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 小林幸一郎は1968年、東京の新富町で生まれた。視力を失った後の2006年、ロシアで開かれた第1回パラクライミング選手権・視覚障害者男子部門で優勝。14年から21年にはパラクライミング世界選手権のB1(全盲)クラスで4連覇を果たした。

 ところが、幼い頃は運動嫌いだったと言う。

「小、中学生の頃は楽しい思い出が全然ありません。体育は苦手、勉強もやる気になれない。夢中になれるものがありませんでした」

 転機は高校2年の春。

「本屋で偶然立ち読みした『山と溪谷』でフリークライミングを知りました。...

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