優勝「安青錦」は「横綱戦に自信を持っている」…大関昇進でも存在する“弱点”と必要な稽古とは【音羽山親方の九州場所総括】

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小兵力士が活躍すると場所が盛り上がる

――藤ノ川関(177センチ、120キロ)時疾風関(179センチ、132キロ)、朝紅龍関(178センチ、122キロ)といった小兵力士の活躍も目立ちましたね!

音羽山:そうですね! 特に時疾風は、12日目まで3敗で、2敗の3人(大の里、豊昇龍、安青錦)に付いていきましたからね。13日目こそ義ノ富士に敗れてしまいましたけど、敢闘賞をあげてもいいくらいの活躍だったと思います。彼は相撲が巧くて、力もある。稽古場では正代(元大関)よりも強い時があるくらいなんですよ。

 小さい力士が活躍すると、本当に場所が盛り上がりますし、他の小兵力士の励みにもなります。

――さて、序二段の土俵では、音羽山部屋の2力士(竜鳳、鶴英山)が7戦全勝で優勝決定戦に進出。結果は、18歳の竜鳳に軍配が上がりましたね!

音羽山:私が音羽山部屋を創設して初めて、優勝力士が出たことは、うれしく思っています。竜鳳は高校を中退して、7月の名古屋場所で初土俵を踏んだばかりの力士ですが、稽古熱心です。そして、鶴英山は大学(近大)で実績を残して、5月の夏場所で、幕下付け出しで入門したのですが、ヒザの負傷で休場が続いて、その復帰の場所でした。

「優勝」はもちろんすばらしいことですが、力士にとっては「7番勝つ」(幕下以下は1場所7番相撲を取る)ことが重要なんです。来場所は1段ジャンプアップして、2人とも三段目に番付を上げます。26年も部屋の力士たちが切磋琢磨して、みなさんに喜んでいただける相撲を取れるよう、引き続き指導していきたいと思っています。

武田葉月
ノンフィクションライター。山形県山形市出身、清泉女子大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『横綱』『ドルジ 横綱朝青龍の素顔』(以上、講談社)、『インタビュー ザ・大関』『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士』(以上、双葉社)などがある。

デイリー新潮編集部

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