自由契約になった男たちが逆襲する!“リストラの星”になりうる「3選手の実名」

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救世主となる可能性も

 二人目も北浦と同じ左腕で、11月14日にロッテが獲得を発表した宮崎颯(前・ソフトバンク)だ。東京農業大時代は、東都大学野球の2部リーグでプレーしており、リーグ戦では4年間で通算2勝と際立った実績を残せなかった。だが、145キロを超えるスピードをマークするなど、将来性を評価されて2022年のドラフトで、ソフトバンクに育成8位で指名された。

 プロ入り直後にトミー・ジョン手術を受けて1年目は実戦登板がなかった。3年目の今年は、二軍で結果を残して7月25日に支配下に昇格。一軍では8月3日の楽天戦と同5日のロッテ戦でリリーフ登板し、いずれも無失点に抑えた。だが、その後は二軍暮らしが続く。今オフ、球団側から自由契約を通知され、育成選手として再契約のオファーを受けたものの、宮崎はこれを断り、ロッテが支配下選手として獲得することになった。

  宮崎の「流出」は、ソフトバンクにとって痛手だったようだ。同球団の関係者は以下のように話している。

「トミー・ジョン手術を受けている間もしっかりトレーニングを積んでおり、昨年から今年にかけて、かなり状態が良くなっていました。課題は、制球が粗い点と球種が少ない点ですが、ボールの力は、全球団の二軍にいる左投手の中でも有数だと思います。ですけど、球団としてはどうしても支配下の枠をある程度空けておく必要がありました。オフにはもう一度育成契約を打診したのですが、他球団から支配下でオファーがあれば、そちらを選ぶのは仕方がないですね。成長が期待できる選手だったので、ソフトバンクとしては残念ですね……」

 ソフトバンクは昨年オフにも三浦瑞樹(現・中日)と仲田慶介(現・西武)に育成再契約を打診したところ、そろって他球団との契約を選び、一軍の戦力になっている。一方、ロッテは今年のチーム防御率がリーグ最下位に沈むなどリリーフ陣の整備に苦しんでおり、宮崎が救世主となる可能性もある。

“逆襲”に期待

 3人目は野手で、11月15日に阪神が獲得を発表した元山飛優(前・西武)である。

佐久長聖時代から評判の高い遊撃手で、東北福祉大時代には仙台六大学野球で3度のベストナインをはじめ数々のタイトルを獲得した。2020年のドラフトでヤクルトから4位で指名された元山は、1年目にいきなり97試合に出場して、53安打、3本塁打、打率.255と結果を残す。翌年以降はケガに苦しみ、1年先輩である長岡秀樹の台頭で出場機会を減らした。2023年オフに宮川哲とのトレードで西武へ移籍したものの、2年連続で打率1割台と結果を残せず、今オフに戦力外通告を受けた。

 ここ数年は不本意な結果が続くものの、守備力の高さに定評があり、内野であればどこでも守れる。打撃面も二軍では少ない出場機会ながら3割を超える打率をマークし、力のあるところを見せた。

 阪神にとっても、内野のユーティリティープレーヤーは貴重な戦力になる。ショートのレギュラーだった木浪聖也が、今年大きく成績を落としており、代わって起用された小幡竜平もまだ安定感に欠けているからだ。元山が活躍できる余地は大いにある。

 北浦、宮崎、元山……新天地へと移った選手たちの“逆襲”に期待だ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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