「巨人軍」再建に高いハードル…「4番」「エース」は未知数も「ブルペン補強は満点」の声 田中将大が尊敬する「健さん」移籍の効果は

スポーツ 野球

  • ブックマーク

強力な助っ人、健さん

 もっとも、投手陣に関しては戸郷や、3年連続2ケタ勝利を達成した山崎伊織(27)、赤星優志(26)などローテーションを争う候補は多い。ドラフト会議でも1位・竹丸和幸(23=鷺宮製作所)、2位・田和廉(22=早大)、3位・山城京平(22=亜大)と3人の即戦力投手を指名している。

 しかし、新人は未知数であり、必勝態勢で臨むことのできる大黒柱がいない。「Trade Rumors」によれば、タンパベイ・レイズのフォレスト・ウィットリー(28)のNPB移籍のための退団要望が、球団に認められたとあり、そのNPB球団が「トーキョー・ジャイアンツ」であることが複数のメディアによって報じられていた。

「16年MLBドラフトでアストロズに1位指名された右腕です。当時、高校生でありながら全体17番目での指名だったので、その才能については説明する必要がないでしょう。97マイル前後(約156キロ)のフォーシームと多彩な変化球を操り、どの球種も曲がり幅が大きく、全てがウイニングショットに使えます。ただ、21年3月にトミー・ジョン手術を受け、復帰後のピッチングがイマイチなんです。球速は2マイル(約3.2キロ)以上落ちました。復調すれば、メジャーリーグのどのチームにいても先発枠に入ってくる逸材です」(米国人ライター)

 レイズがあっさりNPB行きを認めたところも気になるが、巨人も復調の情報を経て獲得に乗り出したのだろう。投手補強に関連して、こんな情報も聞かれた。

「本当に良いブルペン捕手を獲りましたね」

 複数のライバル球団のスタッフがそんなふうに褒めていた。東北楽天ゴールデンイーグルスの創設メンバーで、07年の現役引退後、長く楽天のブルペンを支えてきた長坂健冶氏(48)の巨人移籍が決まった。楽天時代の田中将大(37)も「健さん」と言って、食事に誘ったりもしていたそうだ。

「キャンプ中、早出特打ちをする選手もいますが、その打撃投手役も務めていました。楽天時代の田中のブルペン・パートナーであり、他の主力投手に対しても、ボールを捕りながらその状態を見極めていました。ブルペン捕手では珍しく、シーズン中も試合の映像をチェックし、各投手の状態を把握していました」(プロ野球OB)

 ただ、ブルペン捕手なので、自分から投手にアドバイスをすることはないそうだ。しかし、求められたときには「シンプル、かつ的確に」伝えられるよう、常に準備をしていたという。

 今季の田中には、菅野智之が抜けた後の投手陣の精神的支柱になってくれることも期待されていた。とはいえ、投球フォームの改造などで田中は自身のことで手一杯になってしまい、それどころではなかった。「健さん」との再会は、田中にとって大きなプラスになるのと同時に、

「ブルペンとマウンドでは、投げるボールの勢いが全然違う井上温大(24)など、伸び悩んでいる若手にも良い助言をしてくれるはず」(前出・同)

 との期待の声も聞かれた。

若手の底上げも

 この「健さん」の引き抜きだが、楽天コーチの経験も持つ橋上秀樹コーチ(60)か、田中の推薦があったのではないかと思われるが、他球団のあるスタッフは、「最強のブルペン強化」と警戒していた。

「大勢(26)、マルティネス(29)、田中瑛斗(26)が60試合以上に登板したので、その反動も心配されます」(前出・スポーツ紙記者)

 巨人は前田健太(37)、則本昂大(34)の獲得調査を進めているという。疲弊した救援陣をカバーするには一人でも多くの投手が必要だ。去る11月19日のオーナー会議後、記者団に囲まれた巨人・山口寿一オーナー(68)は、今オフのさらなる補強を否定しなかったが、「そこがもちろん基本ですから」と言って、若手の底上げが最優先事項であることを強調していた。

 4番とエースが不在となる新チームの舵取りは、難しいものになるだろう。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。