国民に「おこめギフト券」配布は本当にJAの利益拡大に繋がらないのか…「使えるお店」は限られ、「ネット転売」のリスクも

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JAの丸儲け!?

 ちなみに小売店によってはコメ以外の商品を買うことも可能だ。国が配ってくれたおこめ券を使ってパスタ、うどん、パンを買う家庭もあるに違いない。

 ちなみにXでは「おこめ券でカルフォルニア米を買おう」という国の物価高対策を揶揄するポストも目立つ。

 ただし、おこめ券が「国産米に限る」などと産地を指定していないのも事実だ。理論上は国からもらったおこめ券で輸入米を買うことも可能だ。

 そして最も世論が問題視するかもしれないのが、国の物価高対策としての予算がJAに流れ込む可能性だろう。

「配付している自治体からは『JAの「おこめギフト券」は最初からケースに入った状態で納入してくれるため、「全国共通おこめ券」より配付の手間が軽減される』という声が出ています。国は重点支援地方交付金を拡充して自治体の財源とし、その上でおこめ券を“推奨メニュー”とすることを検討しています。もし全国の自治体が『JAのおこめギフト券にしよう』と決断すると、物価高対策の国家予算がJAに注ぎ込まれることになるわけです」(同・記者)

 2023年10月時点で、日本の総世帯数は約5621万世帯。約5612万世帯に5000円を配ると必要な予算は約2810億円となる。

JAが手にする2810億円

 おこめ券の額面は1枚500円だが、印刷費や流通費などで60円が引かれ、支払い時には1枚440円に減額される。この60円を“マージン”と見なすかは意見が分かれるだろうが、いずれにしても額面との差額だけで約33億円に達する。

 もし全国の自治体がJAのおこめギフト券を選べば、巨額の税金が一時的だとはいえJAに流れ込むわけだ。

「消費者はコメの高騰問題で、農家に対しては強い共感を示しています。一方、卸業者などの中間業者やJAに対しては厳しい意見が目立ちます。物価高対策として消費税を減税したり、現金を給付したりすれば、税金の使い道が特定の団体と密接な関係を生むことはありません。ところがおこめ券を配れば、物価高対策の予算がJAに注ぎ込まれる可能性が出てきます。おこめ券でコメ価格がさらに高騰しても農家にメリットはありません。喜ぶのは在庫を抱えた卸業者でしょう。JAが『何もやましいことはない』と潔白を証明したとしても、納得のいかない国民は多いのではないでしょうか。そもそも本当の物価高対策はコメ5キロが3000円で買えて、なおかつ農家の方々も利益を上げられる農政を実現することです。ネット上で批判が相次いでいるように、おこめ券を配る政策は悪手だと言われても仕方ありません」(同・記者)

配付のメリット

 ただし、配付を行っている自治体からはメリットも指摘されている。取材に応じてくれた台東区の担当者が言う。

「現金給付の場合は、対象となる区民に振り込み口座を問い合わせる事務が非常な負担となります。区内ならどのお店でも使える『地域プレミアム商品券』のようなものを創設する場合は、ルール作りが同じように大変です。一方、おこめ券はすでに流通しており、使える店も区内にしっかり確保されています。区がJAなどに注文すれば、すぐに納品してもらえます。それを住民登録で把握している区民の住所に送付するだけですので、事務負担が少ないというメリットはあると考えています」(台東区)

 ひょっとすると「おこめ券を配る」という政策の最大の問題点は、コメ離れが進んでいる国民に無理矢理コメを買わせようとしているところにあるのかもしれない。

 第1回【「そして誰も日本のコメを買わなくなった」は本当か 「5キロ5000円」で加速する“コメ離れ”…SNS上には「日本人の主食はパスタに」「トルコ産パスタは生活必需品」の声も】では、日本人の主食がコメではなくパスタに変わってしまった現状について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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