「おこめ券」は本当に物価高対策になるか 「JA」「鈴木農水相」が全面支援も…「5キロ5000円」時代には“焼け石に水”との声も

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1回配ったら終わり!?

 そして消費者が不満を訴える可能性が高いと考えられるのが、その金額だ。

「すでに配付を行っている自治体を見ると、配付額は世帯収入や子供の数などで変化するという“ローカルルール”が定められていることが分かります。ただし金額としては1世帯あたり10枚5000円か、20枚10000円が一般的のようです。国は重点支援地方交付金を拡充して自治体の財源とし、その上でおこめ券を“推奨メニュー”とすることを検討しています。つまり全国の自治体が住民に実質4400円か8800円のおこめ券を配る可能性が出てきたわけです。ただし、1万円にも満たない金額では、『これで安心してお米が買える』と喜ぶ消費者は少ないのではないでしょうか」(同・記者)

 つまり1つ目の問題点は「券は1回配ったら終わり」という可能性があることだ。たとえ国から自治体を通じて8800円分のおこめ券をもらったとしても、今はコメの価格が高止まりしている。国産米なら5キロ5000円台も全く珍しくない。

 コメを10キロ買えば1万円近くに達する。8800円では足りないため差額は自腹を切って払えば、もうその家庭に対する物価高対策は終わり──かもしれないのだ。

「販売データやアンケート調査から、消費者が考えるコメの適正価格は5キロ3000円台だと分かっています。本当の物価高対策は常にコメが5キロ3000円台で買えることでしょう。国が国民におこめ券を配ったとしても、1回だけの配付なら10キロも買えないということになります」(同・記者)

高市政権への風当たり

 コメを食べる量が少ないと考えられる一人暮らしの若者や高齢者でも、これでは支えにならないはずだ。

「ましてや食べ盛りの子供がいる家庭だと、配ってもらったおこめ券は瞬時に消えてしまうはずです。毎月10枚4400円を国が各家庭に配ってくれるのなら物価高対策になるかもしれませんが、もし1回だけなら率直に言って足りないでしょう。そのため実際におこめ券が配られると国民から『やはり消費税減税がいい』などと、高市政権に対する不満の声が上がることは充分に考えられます」(同・記者)

 おこめ券を配布すれば物価高対策になるどころか、社会的混乱を引き起こす可能性さえあるという。

 第3回【国民に「おこめギフト券」配布は本当にJAの利益拡大に繋がらないのか…「使えるお店」は限られ、「ネット転売」のリスクも】では、おこめ券配付が引き起こす問題点について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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