巨人2軍監督 「桑田退任」→「石井琢朗」電撃就任の舞台裏 選手いわく「なぜ桑田さんが責任を…」 石井氏は「本当はDeNA監督になりたい思いが」
1軍と2軍の空気が違う
自信を失ってファームに降格した選手たちに対し、桑田2軍監督は積極的にコミュニケーションを取った。
「戸郷が夏場以降に持ち直したのは、桑田さんの影響が大きい。本人から悩みを聞き、フォームの修正で助言を送ることで投球にメリハリがつくようになり、直球の力強さも春先より取り戻していた。あとは表情が明るくなりましたね。これは戸郷に限らずですが、自信を失うとネガティブになってしまう。投手は繊細ですから。桑田さんは選手個々の性格を考えながら、声掛けをするのがうまい。多くの選手が自信を取り戻したと思いますよ」(巨人の前コーチ)
厳しい言葉で奮起を促す阿部監督の昭和式スタイル、桑田氏の選手に寄り添った指導法。それぞれ立場が違い、どちらのアプローチが正しいとは言えないが、他球団の関係者の指摘が興味深い。
「勝ちにこだわる1軍と育成を重視するファームで雰囲気が違うのは当然ですが、巨人は1軍と2軍では全く別のチームかと思うぐらいベンチの空気が違う。今年は優勝争いに絡めなかったことが影響していますが、1軍は重苦しい雰囲気に包まれてピリピリしている印象でした。でも、ファームは選手たちが声を常に張り上げて劣勢の展開でも活気がある。緩い空気とは違います。個々の選手が局面を考えてプレーする意識が感じられ、投打で精度が高い印象でした。良い意味で桑田さんが目立たない。監督になったら面白いだろうなあと思って見ていました」
若手の才能がつぶれてしまう
そして、その後に発表されたのが、石井2軍監督の就任である。
今年までDeNAの野手コーチを務め、次期監督の有力候補と見られていたが退団。22年6月に「左小脳梗塞」で入院したことがあり、健康上の理由でユニフォームを脱いだと推測する声もあったが、巨人の2軍監督に電撃就任が発表された。
DeNAを取材するライターは石井氏についてこう語る。
「DeNAで監督になりたい思いはあったでしょう。でも、自分より年下の相川亮二監督が就任し、村田修一氏が2軍監督に決まったことで球団を出る覚悟を決めた。阿部慎之助監督と個人的な交流があったとは聞いていませんから、招聘はフロント主導の人事でしょう。また、選手として在籍したことのない巨人で琢朗さんが監督を狙うのは現実的ではなく、その点では、現監督への“配慮”も透けて見えますね。こうした経緯もありますから、琢朗さんは阿部監督の意思を尊重してうまくやると思います。むしろ心配なのは投手陣です。桑田さんを慕う若手が多いので、指導方針がガラッと変われば戸惑いはあるでしょう。2軍も阿部さんの意向を汲んだスパルタ式になり、若手の才能がつぶれてしまわないか心配ですね」
首脳陣の劇的なテコ入れは吉と出るか。




