「Mステ」出演を拒否してAKB48を最初に卒業 “最年長”メンバーが苦渋の決断をしたワケ
宇佐美友紀インタビュー
2005年12月8日、AKB48はわずか7人の観客の前でデビューする。1期生の宇佐美友紀さん(40)は、当時21歳。最年長メンバーとしてその舞台に立った。日に日に増える観客の熱気とは裏腹に、「私は何のために頑張っているんだろう?」という思いが募っていく。グループは音楽番組「ミュージックステーション(Mステ)」への出演が決まるなど、国民的アイドルとして駆け上がっていく中、宇佐美さんはある決断をした。(全5回の第4回)
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2005年12月8日、私たちはAKB48としてデビューしました。
実は、劇場のオープン日は私の誕生日(12月6日)になる予定だったのですが、2日遅れてしまったんです。そのことで、なんだかテンションが下がってしまったのを覚えています(笑)。
デビュー公演当日は、お客さんが本当に少なかったですね。初日のファン数は「7人」という話は有名ですが、最初の頃は本当にそのくらいの人数で、関係者もほとんどいない状態でした。
劇場は東京・秋葉原のドン・キホーテの中にありました。マネージャーさんたちが秋葉原の駅前でビラ配りをしているという話を楽屋で聞いて、「ああ、本当にガチでやっているんだな」と思いましたね。
劇場に来るファンは次第に増え、個人への手紙も増えていきました。徐々にファンの熱が増していくのも肌でわかりましたね。まだ、総選挙のようなシステムはありませんでしたが、ファンとの距離が非常に近かったので、そういう熱は自然と感じられる環境でした。
私が劇場デビューしてからの在籍期間はわずか4か月ですが、デビューから1か月後くらいには劇場は連日満員になり、1日2回公演もこなすようになりました。ただ、まだ応援のやり方も決まってないし、ファンの人全員がペンライトを持っているわけでもなく、「ここから始まるんだな」と公演に立つたびに思いました。
ただ、お客さんの熱気とは裏腹に、私は正直なところ、「アイドルとして表に出てしまっていいのかな?」「21歳なのに制服を着て踊っているけど、これで本当にいいのかな?」という思いが強くなっていきました。
センターポジションは自然と中学生組が務めることが多く、年長の私は端の方のポジションが常でした。年齢制限ギリギリで入った私は、入った瞬間から卒業するまでずっと「最年長」。センターになることはないだろうと頭では分かっていましたが、実際に舞台に立つと、複雑な気持ちでした。
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