高橋藍の交際報道、「二股」よりガッカリされた理由とは? インフルエンサーとの交際に「見る目がない」

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コンテンツ化される令和の恋愛 インフルエンサー女子たちの「肥やし」になってしまう男性たちへの同情

 そしてもう一つ、インフルエンサー女子との交際が冷ややかな目で見られる理由は、「恋愛がコンテンツ化されている」時代であることだ。

 インフルエンサーたちは、自分の生活をSNSで発信し、恋愛事情も「世間と共有するもの」として表に出す。例えばインフルエンサーやフリーの女子アナたちが登場するバラエティー番組や動画では、「わたしを口説いてきた有名人」というエピソードが紹介されることが多いが、彼女たちの自尊心を満たすためだけに「誰々からDMでお誘いが来た(けど断った)」とネタとして消費されてしまうリスクがある。ファンにとってはプライベートの切り売りに見えてしまい、どこまでが本気で、どこからが演出なのかが分からない。

 だから、ストイックで努力の象徴のようなアスリートが、そうした世界の住人とつながると、ファンは混乱する。「純真な夢の象徴」に、「アテンションエコノミー界の住人」が入り込んだ瞬間に、物語の温度が変わってしまうのだ。

 どうせ男性側も本気の相手探しじゃないでしょ、という考え方もあるが、それでも「男性有名人さえも袖にしたわたし」と「芸の肥やし」や自慢話のように語られては気分が悪いというファン心理はもっともだろう。高橋選手のお相手とされるインフルエンサーも、報道後に「私は元気です」と韓国語で投稿していたが、かえって報道の真偽を知りたい人たちの好奇心を刺激している。

 つまり、がっかりの正体は、嫉妬ではなく「物語の破綻」に対する落胆である。私たちは理想の主人公に、現実の恋愛を持ち込んでほしくないのだ。

 SNS時代に生きる若者が、SNSで出会い、恋をするのはごく自然なこと。現代のスターは、テレビの中ではなくスマホの中で育った。それを「夢が壊れた」と感じてしまうのは、結局のところ、私たちはインフルエンサー女子に失望しているのではなく、「夢の続きが思っていた形じゃなかった」ことにがっかりしているだけなのだろう。

 高橋選手は「プライベートに関する報道で騒がせてしまった」ことのみ謝罪し、二股疑惑についても、本命がどちらの女性かということも発信していない。ただこの報道をきっかけに、純粋にプレーだけでなく、私生活での選択までブランド戦略の一部として扱われることを痛感したはずだ。

 そしてセルフブランディングに長けているのがインフルエンサーという職業であり、彼女たちが嫌われるのは、「セルフブランディング社会」への疲れや葛藤の表れといえるのかもしれない。ただ皮肉なことに、そのモヤモヤこそがインフルエンサー商売を加速する最高の燃料でもある。高橋選手にとって、試合よりもプライベートの「観客」が多過ぎることが災難だったといえるのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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