「ソフトバンクは短期決戦に強い」は本当か? 日本シリーズでは「苦労を重ねたチーム」より「盤石の強さを誇るチーム」のほうが有利と元プロ投手が語る理由
実は勝負弱いソフトバンク
「『短期決戦はソフトバンクが強い』というイメージがあります。しかし実際の成績を見ると、そうでもないことに気づきます。2018年と19年のシーズンを2位で終え、2年連続で優勝した西武をCSで下し、18年には広島、19年は巨人を破って日本一となったことで生じた“過大評価”でしょう。ちなみにソフトバンクはレギュラーシーズンでも最終盤に“まさかの大敗北”を喫したこともあります」
2022年のシーズンでは9月30日にマジックが1となったが、最終戦でロッテに逆転負け。オリックスの逆転優勝となったことも記憶に新しい。
確かに前田氏が指摘する通り、ソフトバンクに“やらかし”の歴史が存在するのは間違いないだろう。もしソフトバンクに勝負弱い一面があるのだとしたら、阪神にとっては追い風になる可能性が高い。
おまけに今回のCSでソフトバンクは辛くも日本シリーズ進出を決めたが、その勝ち方も決して良くはなかったという。
前田氏は「『若いときの苦労は買ってでもしろ』という諺があります。苦労は人間を成長させるという意味ですが、少なくともプロ野球のチームには当てはまらないと思います」と指摘する。
阪神は“普段着の実力”
「ソフトバンクはレギュラーシーズンではケガ人が続出し、CSでは日ハムに追い詰められ、苦労に苦労を重ねて日本シリーズ進出を決めました。こういうチームは選手の起用が日替わりの傾向を強めてしまいますし、選手も『あの時、こうすればよかった』と反省する機会が増えます。これではチームとして完璧な自信を持てないまま日本シリーズに臨むことになってしまいます。一方の阪神はシーズンでもCSでも盤石の強さを見せつけました。“勝利の方程式”が完全に確立した状態で日本シリーズを戦うわけです。選手はリラックスして“普段着の実力”を発揮するでしょう。これは阪神にとって大きなアドバンテージになるのは間違いありません」
第3回【阪神はソフトバンクよりも「日ハムのほうがやりにくかった」と元プロ投手…新庄監督なら恩師「野村克也氏」仕込みの“情報戦”を展開した可能性も】では、阪神にとって日ハムのほうが嫌な相手だった可能性について詳細に報じている──。
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