英王室「不祥事のデパート」アンドリュー王子 自身は“若い女性”を、元妻は金銭を受け取り…称号放棄でも「不十分」と言われる行状の数々
電子メールで発覚した“真っ赤な嘘”
2011年2月にアンドリュー王子とエプスタイン元被告のツーショット写真を掲載した英紙「ニュース・オブ・ザーワールド」の廃刊後、「メール」紙と同紙日曜版「メール・オン・サンデー」は“アンドリュー問題”の急先鋒を担っている。第三段階の起点となったのは、アンドリュー王子とエプスタイン元被告が交わした電子メールに関する同紙の暴露記事だった。
前述のツーショット写真は、エプスタイン元被告が2008年からの服役に続く1年間の自宅軟禁を終えた後、2010年12月にニューヨークで撮影されたものだ。今回の暴露記事によると、アンドリュー王子は写真が世に出るタイミングで、「我々はこれを一緒に乗り越えなければならない」といった内容のメールを送っていた。
アンドリュー王子は2019年11月に掘った“墓穴”ことBBCインタビューで、ツーショット写真が撮影された時点でエプスタイン元被告とは「縁を切った」と証言した。だが、この暴露されたメールはそれが真っ赤な嘘だったことを裏付けている。
メールはエプスタイン元被告関連の裁判で法廷文書に記載されたもので、アンドリュー王子はその裁判に関係していない。今年1月に「英王室メンバー」のメールとして一部が報じられ、アンドリュー王子だという見当はついていたが、今回はメールの署名も明らかになったことで送信者が確定した。
元妻もカネ絡みで深すぎる関係
この前哨戦として、同紙は先にアンドリュー王子の元妻、セーラ・ファーガソンさんの嘘を暴いていた。なお、ファーガソンさんは1996年5月の離婚後も「ヨーク公爵夫人」の称号を保持していたが、元夫の放棄に伴い今後は使用できない。
離婚後のファーガソンさんは経済的な困窮が度々報じられ、2011年3月にはエプスタイン元被告から1万5000英ポンド(約300万円)を受け取っていたことが発覚。当時のファーガソンさんはエプスタイン元被告との縁切りを宣言した。
だが「メール」紙は今年9月、ファーガソンさんが2011年4月にもエプスタイン元被告にメールを送り、縁切りを謝罪していたと報じた。しかも、エプスタイン元被告の自宅軟禁終了を祝うため、娘2人とニューヨークへ赴いていた事実も発覚。新たな報道によれば、ファーガソンさんが金銭的な援助を受けた期間は15年に及ぶという。
天井知らずの「不祥事のデパート」
アンドリュー王子は17日の声明を「私に対する告発を強く否定する」と締めくくったが、現在の英メディアは不祥事を一斉に棚卸し中だ。たとえば、2019年にジュフリーさんが米国で民事訴訟を起こした際、ロンドン警視庁の警護官にジュフリーさんの“内偵”を依頼した件。ロンドン警視庁はすでに捜査中と明言した。
中国スパイとの関係もまだくすぶっている。英国では先に、中国スパイとして逮捕された英国人2人の起訴が取り消され、政府と検察庁への猛批判が沸き起こった。アンドリュー王子はこのスパイ計画を進めたとされる中国共産党の高官と、少なくとも3度対面しているという。
「チャールズ国王に立ち退きを迫られている」と度々報じられた現在の住居、ロイヤル・ロッジの件も再炎上中だ。英紙「タイムズ」は賃貸契約書のコピーを入手し、家賃が「1ペッパーコーン(非常に少額の金を指す比喩表現)」だったことを報じている。
まだ何か出てきそうな「不祥事のデパート」と化したアンドリュー王子。今回の称号放棄はウィリアム皇太子が主導したともいわれているが、「タイムズ」紙によればチャールズ国王は一連の不祥事がバチカンへの公式訪問に影響することも懸念していたようだ。
英国内では「『王子』も剥奪すべき」の声が日に日に高まり、次期国王のウィリアム皇太子も“強硬派”と指摘されている。そして先日は、今年4月に自らこの世を去ったジュフリーさんの回想録が出版された。アンドリュー王子との行為やエプスタイン元被告から受けた虐待が詳細に綴られているこの本、あるいは新たな不祥事の発覚が“完全追放”の後押しとなるのか、引き続き注目されている。
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