ブラジルに歴史的勝利「ポット2確定」も…森保ジャパンがW杯「ベスト8位」以上を目指すなら「むしろパラグアイ戦の徹底的な検証が必須」な理由

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 サッカー日本代表は10月10日にパラグアイ代表、14日にブラジル代表と対戦した。日本代表が苦手とする南米の強豪相手にどう戦うのか注目を集めていたが、結果はご存知の通り、前者が2−2で引き分け、後者が3−2で歴史的な勝利を収めた。つまり南米の2チームと対戦して1勝1分けと無敗だったのだ。森保一監督と代表選手が高く評価されるのは当然のことだが、サッカージャーナリストの六川亨氏によれば、代表が「W杯優勝」を目標にしているならば話は違ってくるという。

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 六川氏は「あのブラジルに初勝利、しかも0−2からの逆転勝利という結果は、日本サッカー史に残る偉業であることは間違いありません」と言う。

「しかしながら勝因を冷静に分析する必要があるでしょう。例えばブラジルの先発メンバーです。まだブラジルはベストメンバーが決まっていません。そのため10日に行われた韓国戦のスタメンから8人を入れ替えて日本戦に挑みました。しかし私は、韓国戦のほうが現時点におけるベストメンバーに近かったと考えています。日本戦のスタメンは韓国戦より戦力的に見劣りがしました」

 現在、FIFAランキングで日本は19位なのに対し、韓国は23位だ。実際、10月10日にブラジルはソウルで韓国と対戦し、5−0の完勝で終わっている。

 誰が考えても、ブラジルは韓国戦より日本戦に全力を注ぐべきだった。だが、それはできなかったという。なぜなのだろうか?

「ブラジルは常勝を義務づけられています。もし『韓国戦では戦力を温存し、日本戦はベストメンバーで戦う』との方針が明らかになれば、すぐさま地元メディアやサポーターから猛批判されるでしょう。『どんな試合でも全力を尽くして勝利しろ』というわけです。ブラジルとしては初戦の韓国戦にベストメンバーをぶつけ、第2戦の日本戦は残りのメンバーで戦うしか他に選択肢はなかったのです」(同・六川氏)

森保監督とアンチェロッティ監督の“差”

 一方、森保監督はブラジル戦に全力を尽くす方針を最初から明確にしていた。

「森保監督はブラジル戦に勝利するにはどうしたらいいかを熟考し、そこから逆算してパラグアイ戦のスタメンを決めました。森保監督はブラジルを待ち受ける態勢を整えていたと言えます。ブラジルを“迎え撃つ”という戦略が日本の初勝利を導いたと言っても過言ではないでしょう」(同・六川氏)

 後半、日本は怒濤の連続攻撃で3点を奪い、劇的な逆転勝利を成し遂げた。日本中が熱狂したのも当然だが、この点も冷静な振り返りが必要だという。

「やはり3点のうち2点は、ブラジル側のミスが原因だったということは重要でしょう。日本が厳しいプレッシャーをかけ、相手のミスを誘発したのは事実です。しかしながら、たった1人のミスで、あそこまで動揺するブラジルは初めて見ました。ひょっとするとブラジルはまとまりきれていないのかもしれません。ブラジルはW杯で世界最多となる5回の優勝に輝いています。しかし最後の優勝は2002年で、もう20年以上も優勝から遠ざかっています。ブラジルの危機感は相当なものがあり、改革のため代表監督にイタリア人のカルロ・アンチェロッティ氏を起用しました」(同・六川氏)

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