ブラジルに歴史的勝利「ポット2確定」も…森保ジャパンがW杯「ベスト8位」以上を目指すなら「むしろパラグアイ戦の徹底的な検証が必須」な理由

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0−0の重要性

 ブラジルにとっては初の外国人監督となる。ブラジルと言えば、圧倒的な個人技で相手に襲いかかるスタイルがお家芸だ。ところがブラジルは、それを変えようとしている。

「これまでの伝統的な戦術を固執しても優勝は無理だと判断し、ヨーロッパサッカーの長所も取り入れようとしているのです。その方針は正しいはずですが、まだ監督と選手の間には意識の“ずれ”があるのではないかと思ったほど、ブラジルの動揺は印象に残りました。一方の日本ですが、後半の3得点より、前半の2失点のほうが収穫は多かったと私は考えています。日本代表は試合が始まると、守備をしっかり固めました。このゲームプランは正しいですし、W杯でも同じ方針で臨むべきです。日本代表は0−0の時間を長くすることに全力を尽くすしかありません。0−0の均衡が続けば続くほど、ドイツ代表やスペイン代表といった世界の強豪に勝つチャンスが増えるのです。あの攻撃力の高いブラジル代表を2点に抑えたということは、3点を取ったことよりも重要でしょう」(同・六川氏)

 さらにブラジル代表に勝利したことは、思わぬ“副産物”を日本代表にもたらす可能性もあるという。

ベスト16の実力

「日本はW杯の抽選会でポット2に入ることが確定しています。つまりW杯のグループリーグで“死の組”に入る可能性が相当に減少したわけです。さらに対戦相手の意識にも大きな影響を与えるでしょう。何しろブラジルに勝ちました。対戦相手が必要以上に日本代表を恐れる可能性も出てきます。冷静な精神状態で対戦すれば100%の実力を発揮できるチームでも、相手を恐れながら対戦すればパフォーマンスは低下するはずです。日本にとっては相手の隙を突くチャンスが増えるかもしれません」(同・六川氏)

 とはいえ、そもそも日本はW杯に8回出場し、うち4回でベスト16に進出を果たしている。これだけの成績を残しているのだから、いつかはブラジルに勝ったに違いない。

「当たり前のことですが、永遠にブラジル代表が日本代表に勝ち続けることなど不可能です。今回、日本代表が勝利したことに何の不思議もないのですが、それはベスト16の実力を発揮したということしか意味しません。ベスト8に進出するためには、もしくは日本代表が目標に掲げる優勝を実現するためには、もっと強いチームになる必要があります。そのことを浮き彫りにしたのがパラグアイ戦です」(同・六川氏)

パラグアイ戦の検証が必要

 試合は後半、1−2で日本代表が劣勢だったが、終了直前に上田綺世が飛び込んでヘディングを決め、辛くも2−2の引き分けに終わった。日本人の誰もが「引き分けで助かった」と安堵したはずだが、六川氏は「それは違います」と指摘する。

「W杯で優勝を目指すなら、パラグアイ戦はきっちり3−1で勝利する必要がありました。今の日本代表が持つ実力なら、パラグアイ代表には勝てたはずです。強豪相手に勝ったり負けたりで一喜一憂というのはベスト16のレベルに過ぎません。勝てる相手にしっかり勝てるチームこそがベスト8以上を目指せるのです。ブラジル戦で歴史的な勝利を収めたからこそ、パラグアイ戦の引き分けを反省材料として徹底的に検証し、W杯の教訓として活かす必要があるのではないでしょうか」(同・六川氏)

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