巨人終戦、阿部監督が自賛した「すっげえ試合」にストレスを覚えた 主砲・岡本の去就、坂本の衰え…今年も“大型補強”か【柴田勲のコラム】

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投打ともに大補強の可能性

 今季、菅野智之の代役に指名された戸郷翔征が期待を裏切った。

 12日の第2戦、7対6で延長11回逆転サヨナラ負けを喫した。巨人は1回に佐々木俊輔の先頭打者本塁打、中山の3ラン、戸郷のタイムリーで5点を先行した。

 主導権を握ったと思った。ところが、戸郷がその裏に1死から桑原将志に二塁打され、佐野恵太に一発を浴びた。さらには筒香嘉智への四球から2死一、二塁とし石上泰輝に同点の3ラン……5点のリードを一気にフイにした。

 ストライクとボール球があまりにもハッキリしていた。どちらも高めに浮いた真っすぐだった。マウンド上で自信がなさそうな表情を浮かべていた。これでは誰だって不安になる。

 もちろん、戸郷だけではない。先発としてシーズン通して働いたのは山崎伊織くらいで、赤星優志、井上温人らは伸び悩んだ。フォスター・グリフィンもどうなるか未定だ。コマ不足だ。

 今後、投打ともに大補強の可能性がありそうだ。

あと1死、あと1球で敗北

 試合は両者譲らず延長戦に突入した。巨人は11回に佐々木俊輔の内野安打で1点を勝ち越したが、その裏2死から田中瑛斗が捕まった。

 俊足の石上が内野安打で出塁すると二盗を決めた。田中瑛―大城卓三のバッテリーはノーマークだった。石上は1回に同点3ランを打っている。一塁への出塁はヘッドスライディングだった。乗っている、張り切っている。警戒すべきではなかったか。

 林琢真を2―2と追い込んだが左前にはじき返された。石上が頭から同点のホームに突っ込み、その後一、三塁で蝦名達夫に2―2から逆転サヨナラ打を喫した。

 詰めの甘さ……あと1死、あと1球で次の第3戦を逃してしまった。

 阿部監督は「すっげえ試合だった。勝たせてあげたかったけど。本当総力戦で素晴らしい試合だったなと思うし」と話していたが、巨人ファンにとっては、うなずく人がいれば、一方でストレスを覚えた人もいた試合ではなかったか。

 いずれにせよ、今季は幕を閉じた。来季に向かう巨人のオフに注目である。

(成績は13日現在)

(※1)岡本は昨年12月の契約更改後の会見で「昔から憧れていた場所、目標にしている場所でもある。毎年、上を目指してやっている。野球をしていたらそういう目標をみんな持っている。ボクもその一人」と話した。
(※2)今季は左ひじを負傷して3カ月離脱したが打率3割2分7厘、15本塁打、49打点。
(※3)来日1年目の今季は123試合で打率2割6分7厘、17本塁打、51打点。岡本が不在の間は4番も務めた。本塁打と打点ではチームトップの成績。

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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