「向こうが抱きついてきた」「彼氏はオール沖縄の活動家」と告発者を攻撃 “田久保市長よりも悪質”沖縄県南城市「セクハラ市長」の悪あがき1年10カ月を地元記者が解説
こうハグ 2人でしたのも、初めてだわけさぁね
「第三者委の聴取で、最初は『部屋に呼んだことなどない』と言っていたが、最終的には部屋で2人きりになったことを認めた。そして、『女性職員に口元に疾患があったので、触ってあげたら、相手は目を瞑っていたのでキスされたと誤解された』などと、またもやあり得ない言い訳を述べたのです」
5月、第三者委は7ヶ月間の調査を経て、訴えのあったセクハラ全てを事実認定した上で、市長に辞職するよう提言。だが、それでも古謝氏は辞めようとしなかった。“仲間の擁護”があったからだ。
「6月、7月と2回目、3回目の不信任決議案(1回目は24年3月)が議会に提出されたのですが、いずれも与党議員の大半が反対に回り、否決されました。議会の要請で設置された第三者委がセクハラを認定し、辞職を提言したというのに与党議員の多くが『自分たちは被害者を知らない』と第三者委員会の報告を黙殺したのです」
そんな絶望的な状況で身を挺して戦ったのが、第三者委に被害を訴えた女性の一人、Cさんだった。与党の市議会議長に被害が実在することを「直訴」し、その後、市長室で録音した古謝氏とのやりとりを琉球新報などのマスコミに関係者を通じて提供したのだ。
「ハグしたさ、これ、第三者委員会にあんた、話したの?」
「こうハグ 2人でしたのも、初めてだわけさぁね」
「それ以外、変なことをやられていない、と言ってね」
録音データには古謝氏が一部のセクハラ行為を認め、口止めを要求する言葉が入っていた。
「甲子園で応援団の方がいっぱいハグしていました」と擁護した市議
「録音データが決め手となり、与党議員も市長を守りきれないと判断。9月、4度目の不信任決議が提出されようやく可決されました。まさにCさんの勇気ある行動が膠着した状況を打開したのです。しかし、Cさんは市長から口止めなどの威圧を繰り返し受けて、現在は休職中です。議会の判断が遅すぎました」
恐ろしいのはこの期に及んで、3人の与党議員が反対票を投じ、1人が退席したことだ。
「うち一人の平田安則市議は議場で反対討論まで行いました。『幼少期から知り合いで再選後におめでとうのハグ、これがセクハラに当たるのか』『甲子園で応援団の方がいっぱいハグしていました』と、ハグくらい許されていいと言わんばかりのことを20分にわたって訴えたのです。あまりのセクハラに対する認識の低さに議場は呆れ、静まり返りました」
もちろんそれ以上にありえないのは、辞職せずに議会解散に踏み切った古謝氏であろう。
「往生際が悪いどころの話ではありません。市議会選挙には約2500万円もの税金がかかるのです。すでに第三者委の設置で約850万円の税金が投じられているし、市長選が行われるならばさらに約1000万円。どれだけ自分の不祥事に無駄な税金をかければ気が済むのか…」
どう考えても“詰んでいる”古謝氏だが、この後、どうするつもりなのか。
「市議選で7人市長派が当選すれば、不信任決議の再可決を免れ、辞職せずに済みますが、厳しそうな気配です。古謝氏を見限った与党は座波一県議の擁立を決めていますが、座波氏はもともと古謝氏が副市長に取り立て、県議に後押しした人物。古謝氏は座波氏に“裏切った”と怒っており、座波氏の当選を阻止しようと自ら出馬することをちらつかせています」
確かにこう振り返ってみると、静岡県伊東市の田久保眞紀市長の居座りよりもはるかに悪質と言えよう。
「意味不明な理屈を述べているという点では、田久保氏や前橋市の小川晶市長と同じです。ただ持っている権力が2人より絶大。2人は共に新しい市長ですが、古謝氏は村長時代を合わせると通算して19年もトップの座にいた。『絶対王者』と言われ君臨し続けた結果、役所や議会に自浄作用が働きづらくなり問題の長期化を招いているのです。学歴詐称や不倫と違って、こちらは性被害という被害者が存在する悪質な権力犯罪である点も大きな違いです」
まだ道半ばだが、勇気を振り絞って声をあげた女性たちに敬意を払いたい。




