役員に「血圧計」を配布!? 三菱UFJ銀行の行内事情
ストレス高め?
『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』(三五館シンシャ)の著者・目黒冬弥氏によると、大銀行では支店長ともなれば一国一城の主であり、時には暴君と化すことも珍しくない。それだけ権限は絶大なのだが、最近は変わってきているのだろうか。
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目黒氏が勤める銀行とは別だが、三菱UFJ銀行が9月から役員や支店長ら約500人に対して血圧計を配布した、と日経速報ニュースが報じたのは9月24日。それによると、機器の配布とともに医師につながる専用電話回線も設けられ、24時間いつでも相談できるようになっているという。
いわゆる「高血圧」とは、血圧計で測ってみて上が140ミリHg以上、下が90ミリHg以上のことを指すが、気になるのは、なぜ幹部の血圧を気にするようになったかである。同行に聞くと、今回の配布対象は役付役員、執行役員、シニアフェロー、本部長、部長、所長、支店長だという(血圧計はオムロン製)。
「当行では健康診断結果の有所見者(註・何らかの異常が認められた人)に対する保健指導や投薬治療等の健診事後措置に力を入れていますが、有所見者のうち、血圧で該当している方の割合が脂質(コレステロール)についで多くなっており、高血圧は全行的な健康課題と考えています」(広報部)
やっぱり、ストレス高めなのか。放っておけばさまざまな疾患の発症リスクが高くなるため血圧計を配ることにしたという。
働き方改革
そこで、前出の目黒氏に聞いてみると、
「銀行は違っても、その話、よく分かります」
と言うのである。
「私が本を書いてからメガバンクを取り巻く環境はずいぶん変わりました。まず、支店の行員があまり残業をしなくなったのです。終業時間になると帰れるし、土日もほぼ休める。背景には “働き方改革”が、銀行の支店にも浸透したことが大きい。また、私の銀行では支店ごとに業績評価が『S』から『D』まで5段階に分けられていました。だから、評価を上げるため現場に過酷なプレッシャーをかける支店長もいたのです。行員の評価も支店長に委ねられていた。ところが近年は、本店が行員を直接評価するようになって、支店長の権限が減らされました」
一方、その分、支店長の業務が急増しているという。
「ウチの支店長も朝は7時に出社して、夜は10~11時まで働いています。土日も出てますよ」
メガバンクは横並び。だから、三菱UFJ銀行も同じはず、と目黒氏。血圧計から分かるのは支店長の“お疲れ具合”かもしれない。


