「フロントに足を引っ張られて…」 DeNA「三浦監督」が4年連続Aクラスなのに辞任した裏事情 「藤浪の起用法でもいろいろ言われた」
DeNAの三浦大輔監督が今季限りで退任することが決まった。就任5年目の今年は優勝争いに絡めなかったが、終盤に白星を重ねて巨人との2位争いを制した。4年連続でAクラスに入り、昨年はレギュラーシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち抜いて26年ぶりの日本一に輝いている。球団はその手腕を高く評価し、2年の契約延長を打診したが、三浦監督が固辞したという。舞台裏で何が起きていたのか。
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チーム力に疑問符
球界関係者は指揮官の心中を慮る。
「いろいろ大変だったと思いますよ。昨年日本一に輝きましたが、巨人や阪神に比べると救援陣が不安定でしたし、攻守で野球の質が高いとは言えない。昨オフにどのようなチーム改革をするのかと思ったら、左腕の石川達也を戦力外にしましたが、その石川は今季巨人で活躍している。シーズン途中に藤浪晋太郎、ビシエド、フォードとビッグネームを次々に獲得しましたが、補強戦略として有効には見えなかった。右打者への抜け球が多い藤浪の起用法を巡り、周囲からいろいろ言われましたしね。現場だけでなくフロントにもV逸の責任があると思いますよ」
データを活用した野球がDeNAの特色だが、チーム力が上がっているかというと疑問符が付く。森敬斗、度会隆輝、梶原昂希など期待の若手が伸び悩み、V奪取の切り札として推定年俸9億円で2年ぶりに復帰したバウアーも21試合登板で4勝10敗、防御率4.51とふるわない。藤浪を獲得した際には人工知能(AI)を使ったプロジェクトチームで制球難の改善に自信を見せていたが、右打者の背中の後ろを通過する暴投が度々見られるなど、荒れ球は相変わらずだ。
編成トップの影響力
DeNAは昨オフにコーチ人事で大きな変化があった。編成部長だった進藤達哉氏が1軍ベンチコーチで現場に復帰。ロッテを退団した村田修一野手コーチが新たに1軍担当に就任した。この人事異動により、編成トップの萩原龍大チーム統括本部長の影響力が一気に強まったという。
「進藤さんが編成部長のままだったら、藤浪、ビシエド、フォードの乱獲にゴーサインを出さなかったでしょう。村田コーチの招聘を強く希望したのも萩原さんです。村田は現役時代に横浜のスター選手だったので14年ぶりの復帰は話題を呼びましたが、コーチとしては正直有能とは言えません。巨人、ロッテで打撃コーチを務めましたが『精神論が多く、技術面のアドバイスで引き出しが少ない』という評価でした。今年はリーグトップの510得点をたたき出しましたが、若手がスキルアップしたとは言えず、局面に応じたケースバッティングでも物足りなさを感じました」(DeNAを取材するテレビ関係者)
昨年まで1軍チーフ打撃コーチを務めた石井琢朗野手コーチは、今年から主にファームを担当していた。三浦監督と「確執」が報じられたことがあったが、実際はどうだったのか。DeNAの元コーチが漏らす。
「石井さんは広島、ヤクルト、巨人でコーチを歴任し、丸佳浩(現巨人)、鈴木誠也(現カブス)、村上宗隆(ヤクルト)の能力を引き出すなど非常に優秀な指導者です。ただ、DeNAでは萩原さんとの関係が近すぎて、一部の選手たちから不信感を抱かれていました。実際に他球団の選手をシーズン途中にトレードで獲得した際、『石井さんが萩原さんに獲得を進言した』という情報がチーム内で出回りました。1人のコーチが監督を飛び越えて、編成のトップに選手の獲得を助言することはあり得ません。真偽のほどは分かりませんが、こういった情報が出回ること自体が組織として正常ではない。三浦監督はやりにくかったでしょう。ある選手が『ウチはフロントが監督の足を引っ張っている』と話していたのが印象的でした」
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