「売国奴的な利権構造」 JICAと認定企業との癒着の実態 「在外職員の平均年収は1460万円で納税の対象外」
【全2回(前編/後編)の後編】
大炎上の末、白紙撤回となった「アフリカ・ホームタウン」事業。JICA(国際協力機構)は“誤情報”で自治体に負担をかけたと釈明するが、果たして額面通りに受け取っていいものか。その内情を検証すると、国民の“血税”を預かる組織として甚だ問題だらけなのだ。
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【写真を見る】寄付した工作機械が放置され… 血税の無駄としか思えないJICAのエチオピア支援
前編【寄付した「総額20万円超の高級VRグラス」「日本製工作機械」が放置され… JICAのエチオピア支援のひど過ぎる”実態】では、血税を投入しているJICAによるエチオピア支援のひどすぎる実態について報じた。
自社製品が、経産省が後援する「2024年度省エネ大賞」に輝き、大手レストランチェーンのシェア8割近くを占める節水製品を製造販売するスタートアップ「DG TAKANO」の社長・高野雅彰氏が言う。
「今から4年前、われわれはインドで水インフラ事業を展開するため、JICAの『中小企業・SDGsビジネス支援事業』に申請しようと考えました。これは途上国の課題を解決すべく海外展開する日本企業に対して、JICAが調査業務の費用を肩代わりしてくれる支援事業です。しかも調査が無事に終了し、次の事業化の申請も通過すれば、本事業の費用も工面してくれる。それでJICAとの交渉をスタートしました」
ベンチャー時代からあまたのプロジェクトを成功させてきた高野氏からすれば、JICAの姿勢は違和感の連続だった。
「まず調査を行うにあたり、JICAが認定するコンサルタント企業を使うよう言われました。それで彼らにコンタクトしたところ“私たちは調査事業費から一律40%の手数料をもらいます”“他の認定企業に聞いても結果は同じです”と答えてきたのです」(同)
あまりに不合理だと感じたとして、高野氏が続ける。
「私共には現地事情に詳しいインド人スタッフもいます。認定企業を使わず調査が可能だとJICAに伝えると“認定企業を使わないと、JICAが要求するレベルの報告書を作成できない。どれだけ優秀な調査結果でも審査に合格できない”と言われました。私共は何度か経産省などの補助金を受けた実績があり、自前で報告書を作成して認められてきた。認定企業を介さないと報告書を上げられないなんてあり得ません」
“認定企業を使わないと絶対に通さない”
そして、こうも指摘する。
「JICAの事業は税金が基ですから、最小限の金額で済ませた方がいいですよね。私共だけでやれば認定企業に払う40%の手数料は要らない。JICAの担当者にそう提案したのですが“認定企業を使わないと絶対に通さない”と突っぱねられた。認定企業の方からは“JICAからの天下りが多い”といった類いの話を聞いていたので、結局彼らは手数料収入で稼ぐことが目的になっていると感じました。JICAは日本人が納めた税金を使い、認定企業などの組織と癒着している。あまりにも“売国奴的な利権構造”だと気付き、申請は辞退しました」(高野氏)
住居費用としてアフリカなら月20万円から50万円ほどを公費から支給
民間なら考えられないJICAの在り様は、身内への特別待遇からも明らかだ。
JICAの在外職員の平均年収は1464万円(2024年度)で納税の対象外。しかも国ごとに異なるが、住居費用としてアフリカなら月20万円から50万円ほどが公費から支給される。
アフリカで活動するJICA関係者によると、
「アフリカ勤務のJICA職員には、多くの休暇制度が制定されており、年の半分ほどは休暇だと周囲に自慢げに語っていました。出張を兼ねて国内旅行する事例もあり、ある職員は契約期間終了前に“思い出作り旅行をしてきた”と豪語していましたね」
恵まれた処遇を受けていながら、JICAには「高地健康管理休暇制度」というあしき慣習まである。
「JICAでは、標高2000メートル以上の高地に1カ月以上滞在する在外職員らを対象に、健康被害を回避するとの名目で、年に数回、在勤地から第三国への休暇旅行が認められています。しかも、その旅費まで公費負担なので、現地の日本人の間では“税金を使い家族同伴で海外旅行ができる制度”などと揶揄されている。かつて国際機関に勤務する日本人が高地休暇のエビデンスは何かと在外公館に尋ねたところ“科学的な根拠はない”との答えが返ってきたそうです」(同)
これらの指摘に当のJICAはどう答えるか。
「(高地休暇については)一般に高地に長期間滞在することにより、酸素が不足して血液中の赤血球が通常より増加し、循環障害を来すことがあるとされていることを根拠としています。JICAコンサルタントは、毎年分野別にJICAが公示を行い、企画競争を経て公正に選定しています」
ホームタウン事業を白紙に戻した今、次に再考すべきは組織そのものである。
前編【寄付した「総額20万円超の高級VRグラス」「日本製工作機械」が放置され… JICAのエチオピア支援のひど過ぎる”実態】では、血税を投入しているJICAによるエチオピア支援のひど過ぎる実態について報じている。


