ウクライナ戦線でトヨタ「ランドクルーザー」が脚光を浴びる意外な理由 物資の限られた戦場では「戦車より使い勝手がいい」と評価されることも

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“トヨタ戦争”

 ランドクルーザーにはピックアップトラックのモデルもある。こちらはチェコの企業が荷台に旧ソ連製のZPU対空機関砲を載せ「ヴィクトル」という名前で販売している。

 スペインの自走120ミリ迫撃砲もチェコのヴィクトルも、どちらもウクライナ軍に納入されており、ロシア軍との実戦に投入されている。

 そもそもランドクルーザーは戦前に旧陸軍から“日本版ジープ”を作るよう指示されたのが開発のきっかけだった。そして戦後の1951年、トヨタ・ジープBJ型として試作車が誕生した。

「日本車の高性能は世界中に広まり、1970年代から80年代にかけては日米貿易摩擦が起きました。ランドクルーザー70が発売されたのが1984年で、アフリカのチャドで起きた内戦は86年ごろから“トヨタ戦争”と呼ばれるようになりました。政府軍も反政府軍もランドクルーザーで戦闘を行ったからです。その後、世界各国の正規軍や特殊部隊も軍用車として採用します。同じ理由からテロリストも使うようになります。2015年にイスラム国が流した宣伝動画では、最新型のランドクルーザーがパレードする様子を映し、国富と軍事力を誇示しました」(同・軍事ジャーナリスト)

 第2回【防衛省が「防弾ランドクルーザー」導入を検討…世界中の正規軍、特殊部隊、平和活動で高く評価された“知られざる歴史”】では、戦場でもランドクルーザーが高い性能を発揮することに、自衛隊も注目していることなどをお伝えする──。

デイリー新潮編集部

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