大乱調「藤浪晋太郎」が登録抹消で“CS登板”は? 元巨人・前田幸長氏が語る「右バッターに対する精神的不安」の原点は“レジェンド投手”を激怒させた2球

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藤浪が直面する「自分自身の恐怖」

「ピッチャーは先発でも中継ぎでも抑えでも、頭の中で必ず9人のバッター全員と対戦する心の準備をします。中継ぎとしてノーアウトで登板した際でも、対戦する3人のバッターだけでなく、必ず4人目や5人目のバッターについても攻め方などを心の中で確認します。そして今の藤浪投手は、たとえ次の3人が左バッターだったとしても、4人目や5人目、6人目に右バッターが控えていると心が乱されるのでしょう。この事実を明らかにしたのが9月28日の広島戦と30日のヤクルト戦だったと言えるのではないでしょうか」(同・前田氏)

 打線の中に王貞治氏やランディ・バース氏といった球史に残る強打者の名前を見つけたら、当然ながら投手は恐怖を感じる。だが、己を信じて投げることは可能だ。

 藤浪も右バッターに恐怖を感じている可能性があると前田氏は指摘するわけだが、それは結局のところ、藤浪は己の投球が信じられないということだろう。

「もし右バッターに死球を当ててしまったら……」と不安が募っているのではないか。己の投球を信じてイチかバチか、とにかく球を放ってみるという精神状態とは正反対だと言っていい。萎縮が取り沙汰されるのは当然だろう。

 前田氏は「藤浪投手が右バッターに対して強いプレッシャーを感じるようになった原点は2015年4月の阪神・広島戦だったと考えます」と言う。

戦力外通告の可能性

「この試合ではバントの構えをした投手・黒田博樹さんに3球連続で厳しい内角攻めを行い、うち2球は顔面付近を横切るなど、かなり危険な球だったのです。そして黒田さんは右打ちでした。黒田さんは激昂し、バットを持ったままマウンドに歩み寄るという緊迫した事態に発展しました。藤浪投手にとってはMLBでも大活躍した偉大な先輩にケガを負わせる寸前だったわけであり、その先輩を激しく怒らせてしまいました。この経験が、“心の傷”として藤浪選手に残っている可能性があります」(同・前田氏)

 前田氏は常に「野球選手が心の問題を抱えた場合、心だけを治療しようとしても効果に乏しい」と指摘している。

「野球選手が不安を抱えるのは不調が原因です。そのため不調の原因を究明し、投球や打撃のメカニズムを正しく修正するのが最良の治療法なのです。好成績になれば心の問題は自然と回復します。藤浪投手が投球のメカニズムを修正し、右バッターでも死球の不安が消滅すれば、全盛期の輝きを取り戻す可能性が出てきます。ただし、私は率直に言って、今後の状況はかなり厳しいと考えています。本人が聞く耳を持たないのか、DeNAのコーチ陣に問題があるのかは分かりませんが、今季の成績や投球内容では1軍のピッチャーとしてマウンドに立つ資格があるとは思えません。危険球を投げて打者に大ケガを与えてしまうリスクも常に存在します。CSに登板するという話どころか、DeNAが藤浪投手に戦力外通告を行っても不思議はないのではないでしょうか」

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