自民党が欲しいのは進次郎よりも滝川クリステルか ファーストレディとしての自覚がにじむ発言も
人気と不安視が並立する「進次郎ブランド」 妻に求められる「防波堤」としての世論を抑える力
過去の政治スキャンダルを振り返れば、失言や不倫問題を「妻にも怒られました」で幕引きする光景は少なくなかった。政治家本人が謝罪するより、一般人の代表としての妻が毅然とした態度を示す方が世論の怒りを和らげやすい。これこそ永田町における「みそぎ」としての常套手段だ。
クリステルさんは、この「役割」を果たすにはまさに適任に見える。フリーアナウンサーとしての実績、トリリンガルという国際性、美しいビジュアル、そして環境問題や動物保護への活動歴。これらの要素は、政治家の妻にとって強力な武器になる。
ここ最近の彼女の言動にも、その覚悟がにじんでいると言っては言い過ぎだろうか。8月末にはインスタグラムにて、自身が代表を務める財団を巡る太陽光発電関連の利権疑惑を完全否定。法的措置も辞さないと強い抗議の姿勢を見せている。また先月22日の自民党総裁選告示当日には、大阪・関西万博会場で行われた経済産業省主催のイベントに登壇。女性誌のインタビューでは「夫と一緒に海外に行きたい」「自分のやりたいことをもっとやりたい」と語るなど、これまで家庭に軸足を置いてきた彼女が、外の舞台に出る準備を整え始めているようにも映る。
その一方、クリステルさんは進次郎氏の出馬には反対していたとの報道もある。しかし、今や崖っぷちの自民党にとって、最も欲しいのは進次郎さんよりもクリステルさんの方かもしれない。進次郎氏が政治家としては発展途上だなんて承知の上。「進次郎氏本人の能力」より「進次郎氏がつまずいたときに国民の怒りを受け止められる存在」があれば事足りる、と考えている議員は多いのではないだろうか。
「小泉進次郎」というブランドを成立させる最後のピース「滝川クリステル」
総裁選に向けた進次郎氏の立ち位置は不安定だ。人気先行の印象を拭い切れず、先日は牧島かれん氏が仕掛けたという「ステマ疑惑」によって一気に逆風が吹いた。進次郎氏も謝罪に追い込まれ、「総裁選辞退」を求める声はSNSを中心に広がり、クリステルさんのインスタにまで書き込む人も出てきている。
それでも進次郎氏の存在感は、自民党にとって不可欠になりつつある。そして「小泉進次郎」というブランドを成立させる最後のピースとしての、クリステルさんの影響力は計り知れない。思えば結婚報告の記者会見を首相官邸で行った際には「すでにファーストレディ気取り」と揶揄されたこともあった。しかし、その時クリステルさんが着用したワンピースは同世代女性から絶賛され、売り切れが相次いだという。ベトナム訪問時のファッションが「大学生の着るようなワンピース」と酷評された石破首相夫人とは大違いである。
進次郎氏が本当に自民党総裁、そして首相に上り詰めるのなら、その政治家人生を支える最大の要素は「進次郎構文」ではないだろう。妻であるクリステルさんのファッションやライフスタイルこそが、国民の批判をかわし炎上を鎮火する「最強の防御システム」となるのだろう。
進次郎氏が放った「セクシー」は笑いと批判を呼んだが、もし彼が国のトップを目指すのなら、その言葉を「おもてなし」に翻訳できるのはクリステルさんしかいない。そんなことを言ったら、斜めから見過ぎ、いや、斜め45度から見過ぎだとお怒りを買うだろうか。
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