「人前で服薬はNG」「ビデオ会議の退出は上司優先」…… しばしば炎上のマナー講師は“失礼クリエイター”? 批判に当事者は

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《映画館内で上映中にスマホを使う客がいた》《フードコートで子どもに注意をしない親が増えた》《新幹線の中に大声で喋り続けるインバウンドがいて困った》……。

 他人の迷惑を顧みない“マナーがない”人の行為は常に、ネット民の話題となる。それと共に最近、俎上に挙がりがちなのが「マナー講師」の存在についてである。

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 もともとマナー講師は、名刺の交換方法や挨拶のしかたなどビジネスを円滑にすすめる方法を伝えてきた立場だったはずなのだが、いつの間にか“ルールのジャッジをする存在”“新ルールを作り上げる存在”として認識されるようになってしまった。

 特にここ数年は、コロナ禍でマスクが必要となったことや、在宅勤務などが広まったこともあり、「マスクの色」や「オンライン会議の際の服装、退室の順番」などの「新ルール」を作ったとして矢面に立ち始める。

 SNSでは「人前で薬を飲むのはマナー違反」「オンライン会議で上司より先にログアウトするのは失礼」や、「とっくりの注ぎ口からお酌をするのは“縁を切る”という意味になるのでNG」などといった、真偽不確かな「謎マナー」が、マナー講師が提唱したものとして、やり玉に挙げられている。

 SNSではこんな投稿もされ、批判された。

「失礼クリエイター」と呼ばれて

“勝手に新しいルールを作り上げるいらない存在”、“マナー講師はただの「失礼クリエイター」「迷惑製造機」だ”……そんな批判の声が上がり始めた。

 人の迷惑をかえりみない、つまりマナーのない事柄も炎上案件だが、マナー講師自身も炎上しがち。なんとも皮肉な構造は、とどまることを知らない。

 かつて、自身が提案したものではない「リモート会議では5分前に入室」「客先より先に退出はNG」といったオンラインのマナーを“理不尽マナー”として拡散された炎上経験を持つ、“マナーコンサルタントの第一人者”西出ひろ子さんは、この現状をどのように見ているのだろうか。

「マナー講師が『失礼クリエイター』と呼ばれても、いたしかたないところはあるかもしれません」

「失礼クリエイター」という言葉は、マナー講師が「~~をするのは失礼」「~~しては失礼」などと、“新しい失礼を創出しているのではないか”という感情から生まれたものだ。

 だが、当初この呼称を知った際、悲しむよりもむしろ感心した……と西出さん。

「以前から、まさに私が危惧していたことだったからです」

 30年以上マナー業界に専念してきた西出さんが一貫して伝えてきたのは“マナーは「型」ではなくて「心」である”ということだった。

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