“成績優秀な22歳の容疑者”がチャーリー・カーク氏を1発で射殺できた理由…銃弾8発を撃ち込んだ「トランプ氏」暗殺未遂事件との大きな違い
防弾チョッキが役に立たなかった不運
「しかも銃の扱いに慣れた人間は、動物でも人間でも頭部は非常に小さく、なかなか弾が当たらないことを知っています。ロビンソン容疑者は首を狙って撃ったという指摘がネット上で拡散していますが、それは誤情報=フェイクニュースです。ロビンソン容疑者はセオリー通りに胸部を狙っています」(同・軍事ジャーナリスト)
カーク氏の胸部は守られていた可能性がある、と疑問視する方がいるかもしれない。軍事ジャーナリストは「トランプ氏の暗殺未遂事件もあり、カーク氏もいわゆる“防弾チョッキ”を身につけていたはずです」と言う。
「カーク氏が身につけていたのは、おそらく『ボディーアーマー』という高レベルの防弾プレートだったのではないでしょうか。これは高額なものになるほど薄く、堅牢な防御性を発揮します。つまりスーツの下に着ても周りの人は違和感を覚えません。カーク氏が狙撃された瞬間の動画を見ると、ロビンソン容疑者は胸を狙ったことが分かります。狩猟では遠距離射撃に適した『ホローポイント弾』を使うことが一般的です。この弾は先端が柔らかいので動物に命中すると体内を進み、体外に出ようとする際に爆発したような状態になります。この“炸裂”で鹿などの大型動物を一撃で倒すことができるのです。ロビンソン容疑者が放ったホローポイント弾も、ボディーアーマーで守られたカーク氏の胸元に当たって破片が飛び散り、それがカーク氏の首や頭に当たったのではないでしょうか」(同・軍事ジャーナリスト)
歴史から暗殺がなくならない理由
ボディーアーマーで守られた胸部に当たって飛び散った鉛弾の破片が、カーク氏の体に当たらなかった可能性は存在する。だが実際は当たってしまった。これを不運と評価することもできるという。
「カーク氏が不運だったという一方で、ロビンソン容疑者が鹿撃ちのセオリーに従って人間を狙撃し、自身の目標を完全に達成したことも事実です。トランプ容疑者の暗殺に失敗して射殺された男と比べると、ロビンソン容疑者が銃の扱いに慣れていたことが浮かび上がるのです」(同・軍事ジャーナリスト)
アメリカが銃社会と呼ばれて久しいが、だからこそ多様な“銃文化”が存在する。麻薬の密売人が銃で殺し合っているのも現実なら、鹿狩りを楽しむことで狙撃に必要なノウハウを自然に習得するのもアメリカの現実だ。
「誤解を招く表現かもしれませんが、鹿を狙う射撃技術を人間に応用すれば、暗殺は決して難しいことではありません。本当に難しいのは逃亡のはずですが、ロビンソン容疑者の行方を捜査本部は見失っていた形跡もあります。彼は1発の弾を放つと、すぐにその場から逃走しました。これは逃げるためには最も合理的な行動だと言え、頭を狙って8発を売ったトランプ氏の暗殺未遂犯と明確に違う点の1つです」
紀元前の過去から現在に至るまで、暗殺が絶対になくならない理由が分かるような気がする──。
銃社会の現実に殺されたカーク氏
ちなみにカーク氏は「過去10年間で米国に銃の乱射犯は何人いたか」という聴衆の問いに「ギャングの暴力を含めるか、それとも含めないのか」と尋ね返した直後、射殺されたという。
カーク氏は保守派であり、アメリカの銃社会を擁護しようとしたのだろう。だが、彼はまさに銃社会の現実に殺されたと言える
第1回【熱烈なトランプ支持者が“銃弾1発”で射殺の衝撃…専門家は「容疑者にライフル射撃のトレーニング経験があれば180メートルは“短距離”と言える」】では、ネット上では「約180メートルの距離から容疑者が狙撃できるはずがない」という疑問が噴出しているが、アメリカで狩猟の愛好家なら約274メートルから狙撃することを日常的に練習しているなど、アメリカ銃社会の“日常”について詳細に報じている──。
[2/2ページ]

