「勝って楽になりたかった…」「私はギャンブル依存症です」オンラインカジノで離婚危機のフジテレビ元社員 母が見守る法廷で誓った「再起」
「勝って楽になりたかった…」。母が見守る法廷で、男は時折声を詰まらせながら自身の転落を語った。常習賭博罪に問われたフジテレビ元担当部長、鈴木善貴被告(44)の初公判。やめたくてもやめられない“ギャンブルの沼”の恐ろしさとはーー。(前後編の後編)
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コロナになって韓国に行けなくなった
前編【オンラインカジノ“6億円ギャンブル”で離婚危機に陥ったフジテレビ元社員 「情けないです」“44歳息子”のために証言台に立った母の嘆き】からの続き。
母親の尋問後、鈴木被告が証言台に立った。
弁護人 「今、お母さんの話を聞いてどう思いましたか」
鈴木被告「私の愚かな行為で来なくてもいい場所に来させてしまい、本当に申し訳なかったです」
こう母親に詫びた後、オンラインカジノに手を染め始めた時期は「コロナ禍に入るくらいです」と語った。
弁護人 「なぜオンラインカジノにハマったのですか」
鈴木被告「コロナになって韓国のカジノに行けなくなったからです。知り合いもやっていて、楽しかったので…」
弁護人 「日本では違法であるとは知らなかったのですか」
鈴木被告「当時は周りの知り合いがやっていましたし、生配信する動画サイトもあったので大丈夫だと思っていました」
どれくらい賭けたかという質問には、「きちんと把握していませんが、億は超えていると思います」。
弁護人 「元資は?」
鈴木被告「自分で働いたお金、貯金、クレジットカードで借りたお金です」
弁護人 「そのお金だけで億も賭けられる?」
鈴木被告「勝ったお金もまた賭けていたし、クレジットカードの限度額を超えた後は借金もするようになりました」
弁護人 「勝ち負けの結果は」
鈴木被告「2000から3000万円くらい負けていたと思います」
弁護人 「借金はどのくらい」
鈴木被告「消費者金融から始まって、街金。そこから知人、仕事仲間、家族」
弁護人 「どのくらい借りましたか」
鈴木被告「先ほど言った負けた金額くらい。2000万円くらい借りました」
ギャンブルで作った借金をギャンブルで返すことは不可能
逮捕後、持ち家のマンションを売却して得た金で借金はほぼ返すことができたという。弁護人はここで誰もが思う疑問を突きつけた。「なぜ借金が嵩んでいくのにやめようと思わなかったのか」という疑問である。
鈴木被告「負けた瞬間はそう思うのですが、借金が増えていくと、普通に働き続けて完済するまでどれくらいの時間がかかるだろうと思ってしまい…」
そして「勝てば楽になれる」とのめり込んでしまったという。
弁護人 「実際はどうだったの?」
鈴木被告「ギャンブルで作った借金をギャンブルで返すことは不可能でした」
今年2月に会社から事情聴取を受けた後もやめられなかった。
弁護人 「なぜそのタイミングでやめようと思わなかったんですか」
鈴木被告「そう思って少しだけやめましたが、とてつもない借金を見ると少しでも楽になりたいと思って…」
弁護人 「ギャンブルで作った借金をギャンブルで返せると本気で思っていたの?」
鈴木被告「結果として、そう思っていたからやったんだと思います」
弁護人 「今振り返ってみて、どう思う?」
鈴木被告「色々な人にもうやめろと言われていたのに…楽観的に考えていました」
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