坂口健太郎を「お兄ちゃん呼び」していた永野芽郁 「計算にしか見えない」の声も… なぜ「妹アピール」は嫌われるのか
「お姉ちゃん」呼びする男性タレントはいない非対称性 「疑似兄妹キャラ」戦略の賞味期限
興味深いことに、「お兄ちゃん」と甘える妹キャラタレントは多いが、女性タレントを「お姉ちゃん」と呼ぶ弟キャラタレントはいない。キャッチフレーズ的に「国民の弟」と呼ばれる人はアイドルから俳優まで幅広いが、特定の女性タレントの「弟」を公言する人はあまり思い付かないのではないだろうか。
例えば藤井隆さんとYOUさんは仲良しだが、「甥」「おば」に近い関係だという。中村倫也さんと小池栄子さんも「倫也」「栄ちゃん」と呼び合う仲だというが、中村さんが小池さんのことを「姉」呼びしているという話は聞かない。互いに既婚者ということもあるだろうが、疑似姉弟という関係性を見せたいという計算より、相手を思いやるからこそ一線をきちんと引きたいという意思の表れが感じられる。
「お兄ちゃん」呼びを利用する女性タレントは多いが、「お姉ちゃん」呼びを利用する男性タレントは少ない。そういった非対称性もまた、「妹」を自称する若い女性タレントを悪目立ちさせてしまうのだろう。かつては「妹キャラ」は温かい目で見守られる存在だったが、いまやその戦略は逆効果となるリスクを孕む。むしろ視聴者は自然体の距離感や誠実さを重視し、擬似的な「兄妹」演出にしらじらしさを感じてしまう。時代が変わった以上、「妹キャラ」という戦略には賞味期限が訪れているのだ。
芸能人にとって異性の共演者との距離感の見せ方は、これまで以上にシビアに問われている。距離感をあざとく操作しようとすればするほど、SNS世代の目には偽装として映るもの。かつてかわいらしさの象徴だった「お兄ちゃん呼び」は、いまやしらじらしい演出と映るだけでなく、交際の「匂わせ」と受け取られ始めている。坂口さんの交際報道は、本人のタレントイメージのダウンだけでなく、妹キャラ戦略の終焉(しゅうえん)を告げる象徴的な事象にもなったのではないだろうか。
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