「安定」を捨てる価値は本当にあるのか…地方公務員“令和退職組”が明かす本音とは
公務員も「転職は当たり前」の時代
同じ“ヤメ県庁”でありながら、それぞれ転職の動機もタイミングも異なる二人に、共通の質問を投げかけてみた。
まず、周囲に転職の意向を告げた時、反応はどうだったのだろうか。
「誰に話しても『え!?』と絶句されましたね(笑)。『どんな会社に行くの?』と聞かれる以前に、『辞める』こと自体への衝撃が大きかったようです」(猪俣さん)
猪俣さんが埼玉県庁を退職したのは、2014年のこと。10年以上前の当時は、メンタル不調や結婚・出産以外の、前向きな転職を理由とした退職はかなりのレアケースだったのだ。
一方、“令和退職組”の森原さんのエピソードは、この10年間の変化を示唆している。
「40~50代の管理職の方々は『え? 辞めるの?』『もったいない』と驚いていましたが、同期や後輩は『ですよね』『いつか辞めると思っていたよ』とまったく対照的な反応でした。中には『実は自分も転職活動をしているんです』と打ち明けてくれる人もいましたね」
旧世代が「安定した組織で定年まで勤め上げること」を唯一のキャリアパスと捉える一方、若手・中堅世代の多くは「この環境がすべてではない」と感じている。若手公務員にとって「転職」はもはやタブーではなく、キャリアの選択肢として当たり前になっているのだ。そのキャリア観に対する世代間のギャップが浮き彫りになった。
〈有料版の記事【地方公務員必読「潰しがきかない」はウソ? 2人の元自治体職員が明かす、地方公務員「転職のリアル」と間もなく解禁「公務員の副業」へのヒント】では、民間企業でも通用する地方公務員のスキルや、転職後に民間企業で成功するための意外なポイント、そして総務省が推進する「公務員の副業」へのヒントなどについて、詳述している。〉
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