「江頭2:50」がまた“大失態” 全く笑えない…「豚肉成分入りポテチ」事件が起きた理由

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繊細な食企画

 江頭は、1997年にトルコで全裸パフォーマンスをして大問題になったことがある。今回のコラボ商品の企画においても、そのエピソードを「伝説」として取り上げ、再びトルコでロケを行っていた。そのことを問題視する声もある。28年前の「全裸事件」は今でこそ伝説的に語られているが、当時は現地の人々に強い反発を招き、警察に拘束され罰金を科された深刻な出来事だった。同じ国で再び文化的タブーに触れてしまったことで、「また同じことを繰り返している」と思われてしまうのは避けられない。

 食に関する企画は、アレルギーや宗教的禁忌といった繊細な領域にまたがっているため、より一層の慎重さが必要とされる。クリエイター側もスピード感や意外性を優先するあまり、リスク管理を軽視してはならない。

 今回の炎上から得られる教訓は、異文化を扱うときに自分たちの常識だけで進めてはいけないということだ。日本では笑いのネタになることでも、他国では侮辱や不敬と受け取られることがある。グローバルに動画が発信される時代においては、より繊細な配慮と確認が求められる。

 芸人の過激さや話題性はエンタメにとって大事な要素だが、それが他者の尊厳を傷つけることで成り立ってはならない。テレビ番組をはじめとして、日本のエンタメ作品の多くは国内マーケット向けに作られているため、国際的な視点が抜け落ちていることがある。これからの時代には、どんなものを作る場合にも世界を意識した十分な配慮が求められるだろう。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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