阪神「17ゲーム差」優勝も“日本シリーズに進出できない”リスク…CS反対派の元阪神4番は「ファンが興行の心配までする必要はありません」
プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)に関して、見直しを求める声が増えている。ファンだけでなく少なからぬ元選手も疑問を表明しており、議論が始まったきっかけは阪神の優勝だった。優勝を決めた9月7日時点で(以下同)阪神は78勝45敗で勝率6割3分4厘と圧倒的な強さを誇った。2位の巨人ですら17ゲーム差をつけられ、61勝62敗で借金が1、勝率は4割9分6厘と5割を切った。
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3位のDeNAに到っては58勝62敗で借金4、勝率4割8分3厘。ちなみに2024年のセ・リーグは4位に終わった広島が68勝70敗、勝率が4割9分3厘だった。
今季の巨人とDeNAは、昨季であればBクラスレベルということがよく分かる。そうした中、取り沙汰されているのが間近に迫ったCSだ。担当記者が言う。
「ポストシーズンは短期決戦なので、チームの戦力差だけでなく“流れ”も大きな影響を及ぼします。まさに勝負は時の運という展開になりやすいのです。阪神が必ずCSを制するとは限らず、3位のDeNAや2位の巨人が日本シリーズに進む可能性は充分にあります。これに一部のプロ野球ファンは『2位の巨人に17ゲーム差を付けて優勝した阪神が日本シリーズに進出できなかったらおかしい』、『勝率4割台のチームが日本シリーズに進出したら大問題』といった意見をSNSなどに投稿しており、議論が盛り上がっています」
阪神と巨人で4番を務めた、野球解説者の広澤克実氏は一貫してCSに反対を表明してきた。デイリー新潮も広澤氏に取材を依頼し、以下の2本の記事を配信した。
▼「【阪神・オリックス優勝】『2位と5ゲーム以上の差ならCSは開催すべきではない』タイガースOBの持論に賛否 改めて聞くその根拠」(2023年9月21日)
▼「巨人ファンはもっとCSに怒ってもいいのでは? 今季『8ゲーム差』のDeNAに敗退…有名OBは『誰が考えてもおかしな制度』と指摘」(2024年10月25日)
名誉を毀損するCS
改めて広澤氏にCSに反対する理由を聞いた。
「2022年のシーズン、オリックスは最終戦でパ・リーグ優勝に輝きました。その劇的な展開は本来なら球史に残り、ファンの間で長く語り継がれたはずです。ところが、その直後にCSが開催されたため、オリックスの偉業はかすんでしまいました。今季の阪神のように優勝チームが独走した時だけでなく、球史に残る大接戦が繰り広げられた時でも、CSの開催は不自然なのです。これはCSという制度が根本から間違っていることを証明していると言えるのではないでしょうか」
広澤氏は「私はCSに反対を唱えているのであり、ポストシーズンを実施することは賛成です」と言う。
「リーグ制覇や日本一は、プロ野球の歴史で重要な要素の一つです。リーグ優勝に輝いたチームには飛びきりの名誉が与えられるべきでしょう。ところがCSは優勝できなかった2チームが日本シリーズに進出できる可能性を与えてしまいます。これではリーグ制覇の名誉が著しく減少します。おまけにセもパも各6球団しかありません。12球団のうち半分の6球団がポストシーズンに進めるのは、いくら何でも多すぎます。私はCSを実施すべきではないと考えていますから、『2位や3位のチームに、もっと重いハンデを課す』とか『1位と2位のゲーム差が大きい場合は開催しない』という改革案にも反対です」
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