メキシコのカウンターを防ぎ切った「森保ジャパン」攻撃力以外の「高レベルな能力」 W杯まで残り9カ月「最大の課題」とは

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望月ヘンリー海輝の身長192センチ

「ゴールは水もの」とも言われるように、いくら練習しても入らない時もあれば、ポストやバーを叩いて決まるなど意外性がつきまとう。その精度を上げるためには決定機の回数を増やすしかないだろう。あるいはセットプレーか。

 そういう意味では終了間際のFK時にセットプレーキッカーがピッチにいなかったのは残念だった(ポイントもだいぶゴールから遠ざけられたが)。

 森保ジャパンは3日後にアメリカ戦を控え、10月と11月にも各2試合が予定され、すでにブラジルとパラグアイとの対戦が決まっている。メキシコ戦を見て感じたのは、もうチームの骨格はほとんどできているなということ。今後はその精度を高めるべきで(ケガ人が多く、不安もあるだろうが)、よほどの戦力でない限り選手層の拡充に時間を費やすべきではないということだ。

 トライするとしたら、現チームに足りない戦力だろう。メキシコ戦の終盤、最後の交代に森保監督が切ったカードはMF鈴木唯人とFW町野修斗だった。もう相手は守備固めからのカウンター狙いにシフトしている。密集したペナルティーエリア内で運動量が持ち味の町野より、192センチの長身であるMF望月ヘンリー海輝の方が効果的ではないだろうか。彼のポジションはサイドバックだが、その長身はメキシコからすれば密着マークをせざるを得ない存在だろう。

上田綺世の功績

 日本の前線にはオールマイティーの選手と快足が持ち味の選手はいるが、空中戦を得意にする選手はいない。似たような選手を揃えるよりも、これまでの日本にはいないストロングヘッダーの発掘・育成こそが、残された9か月の課題に思えてならない。そうすれば、CK、FKなどのセットプレーも武器の1つとなるだろう。

 最後に、前半に日本のハイプレスからの攻撃は、上田のポストプレーが機能したからでもある。難しいポスト役を5回は成功し、決定的なシーンも演出した。フェイエノールトで好調を維持しているだけに、アメリカ戦でも活躍を期待したい。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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