メキシコのカウンターを防ぎ切った「森保ジャパン」攻撃力以外の「高レベルな能力」 W杯まで残り9カ月「最大の課題」とは

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 来夏、北中米3か国で開催されるW杯に出場する森保ジャパンが、9月6日(日本時間7日)、アメリカでの強化試合に臨んだ。FIFAランク13位(日本は17位)のメキシコとの一戦は前後半ともスコアレスドローの引き分けに終わった。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 試合は日本が前半から押し気味に進めたものの、1996年5月に3―2で勝って以来4連敗中。国際Aマッチ対戦成績は5戦1勝4敗と苦手な相手だけに、5年ぶりの勝利はならなかった。

 普段あまり日本代表の試合を見たことのない人にとって、メキシコ戦はなんて退屈な試合と思ったことだろう。両チームともテストマッチだけに、真剣味に欠けたことも事実ではあった。

 しかし日本は前半と後半にあった決定機を外したり、試合終盤は守備を固めるメキシコ相手に効果的な攻撃を仕掛けられなかったりと、フラストレーションの募る展開だった。とはいえ、過去に何度も苦い敗戦を見て来た者にとっては、「大きな進歩」と感じる場面も多々あったことも間違いない。

 過去の日本は、メキシコのドリブルによる鋭いショートカウンターや、ロングパスによる素早いカウンターから失点を重ねてきた。どちらも守備対応が間に合わず、決定的な形から失点。それはA代表も五輪代表も同じだった。しかしこの日は、ショートカウンターには南野拓実と久保建英のインサイドハーフや、堂安律と三笘薫に加え、遠藤航と鎌田大地のボランチらがダッシュで戻り、メキシコのカウンターを阻止していた。

守備では多くの収穫

 彼らは、恐らく危機察知能力の感度が攻撃力と同様に高いレベルにあるのだろう。早めに察してアクションを起こせたからこそ、阻止できたに違いない。これはいままでの日本には見られなかったプレーである(初対戦のせいもあるが)。

 そしてロングパスに対しても、過去の対戦では日本が攻め込んで、DFラインを押し上げた一瞬のスキを突かれ、背走しても間に合わずに失点するシーンが多かった。しかし渡辺剛、板倉滉、瀬古歩夢のDFは、急造と言われながらも無理してラインは押し上げず、常にマーカーを自分の視野に捕らえて、彼らの足元にパスが入れば果敢にアタックしていた。

 守備に関しては、前線からの連動したハイプレスに加え、メキシコのキーマンであるボランチのエドソン・アルバレスに対し、久保や南野がマークにつくのではなく、1トップの上田綺世がDFラインからのパスコースを切るような、背中でのマークで貢献した。彼がバイタルエリアでパスコースを限定することで、久保と堂安も高い位置でのプレスが可能になった。

 対メキシコということで、守備では多くの収穫があったと言っていいだろう。

 一方で攻撃はというと、「ほんのちょっとのチャンスを逃さないよう、精度を上げたい」(森保一監督)、「決め切れればもっと楽になった。最後に決めなければ意味がない(三笘薫)と口を揃えるように、決定力不足を露呈した。

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