名門ユースでは後の“超人気俳優”との出会いも…インドネシアリーグで活躍する日本人選手が明かす「プロとして生きる矜持」
サッカー日本代表はアジア最終予選を1位で終え、来年開催される北中米W杯の出場権を手にしたが、今回から出場枠が8.5に拡大された予選では、新興勢力の躍進も目立った。日本代表と同じC組の4位に入り、アジア予選プレーオフへの進出を決めたインドネシア代表のその一つだろう。選手時代にオランダ代表やFCバルセロナなどで活躍したパトリック・クライファート氏が指揮官に就任。かつての宗主国だったオランダからの帰化選手が加わったことでチーム力は底上げされ、初のW杯出場を射程圏に捉えている。インドネシアの国内リーグ(BRI)で、4年目のシーズンを迎える南部健造選手(33)に、同国のサッカー界の現状や、これまでに歩んできたャリアについて語ってもらった(全2回のうち第2回)。【白鳥純一/ライター】
【写真】「技術よりも、冷静な思考や強い気持ちが何倍も重要」と語る南部健造選手
東京ヴェルディでプロとして生きる術を教わった
1992年8月に東京都八王子市で生まれ、 昨季はインドネシア1部のボルネオFCでMFとしてプレーした南部選手がサッカーを始めたのは、6歳の時に遡る。
「何か身体を動かした方が良いのでは?」という母の提案をきっかけに、地元のサッカーチームへの入部を決めた南部少年は、FWとして技術とスピードに磨きをかけて存在感を示すと、試合を訪れていたスカウトに才能を見出され、中学・高校の6年間は東京ヴェルディジュニアユースでプレーするチャンスを掴んだ。
「まだ中学生の僕らに対して、『どうすればプロの世界で活躍出来るのか?』を見据えた指導を行っていることに最初は驚かされました。日頃の練習だけではなく、『ファンに応援されるプレーが出来ているのか?』や、『どのようにサッカー選手としての自分をブランディングしていくのか?』などについても厳しく指導され、プロ選手として生きていくために必要なことをたくさん学ばせてもらったような気がします」
ジュニアユースでは、同期に「自分の意見を持ち、それをはっきり主張できる選手」と評する小林祐希選手(元日本代表、いわてグルージャ盛岡)や、野球解説者高木豊氏の次男としても知られる高木善朗選手(アルビレックス新潟)。2歳下には「恵まれた才能を持ちながらも、ひたむきに努力を続ける姿が印象に残っている」という中島翔哉(浦和レッズ)など、錚々たる面々が揃っていた。南部選手も彼らの卓越した技術や、ひたむきに練習に打ち込む姿勢に刺激を受け、自身を奮い立たせていたというが……。
その中には、現在は俳優として活躍する竹内涼真氏の姿も見られたという。
「強者揃いのチームにおいて、レベルの高い練習に戸惑ったり、周囲のペースに追いつけないような場面もあったでしょうし、さまざまな辛さも感じていたんじゃないかと思います。ただどんな状況でも努力を続ける姿を何度か見ていて。現在、俳優として活躍する彼の姿を見ると、『当時と変わらぬひたむきさが、成功を手繰り寄せたのかな?』と思いましたし、当時の姿を知る僕も、陰ながら喜びを感じずにはいられませんでした」
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