セルフレジで万引きより怖い“スリ被害” 「店が被害者ではないから真剣に対応してもらえない」

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「千葉県でスリ被害が」

 導入による負担削減の効果は大きく、基本的に店員はレジの出口で見ているだけ。当初は1人で4台ほどを見ていたが、現在は8台以上が多いという。が、良いことばかりではない。セルフレジによる犯罪も起きている。例えば、新手の万引き。

 元神奈川県警の刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が言う。

「典型的なのは、品物をスキャンせずに買い物袋に入れるやり方です。監視カメラと店員がチェックしていますが実際にスキャンした品物と交ぜてしまえば分かりにくいのが実態です」

 チェーンストアなどが参加する全国万引犯罪防止機構によると、ドラッグストアとスーパー計5社に対し、セルフレジの不正に関する聞き取り調査を行ったところ、昨年1年で約2000件もの被害があったことが判明している。

「また、セルフレジでは精算中、カゴの横に財布を置いてしまいがちです。千葉県では、それを狙ったスリ被害も起きている。これなど、店が被害者ではありませんから万引きほど真剣には対応してもらえません」(流通ジャーナリスト)

 便利に見えるセルフレジだが、落とし穴があることもお忘れなきよう。

週刊新潮 2025年8月28日号掲載

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