19歳で起業した「ギャル社長」の今 40歳でも変わらない経営者マインド「一度決めたらやるしかない」
藤田志穂さんインタビュー第1回
19歳の時に起業し、カリスマ「ギャル社長」として知られた藤田志穂さん(40)。現在は全国の高校生を巻き込み「食」で青春を応援する仕掛け人だ。手がける「ご当地!絶品 うまいもん甲子園」は14回目を迎え、地域の未来を背負う若者たちの登竜門に成長。ギャルから農業へ、そして日本の食卓へ――時代を超えて走り続ける藤田さんに、“不惑”の今を聞いた。(全4回の第1回)
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【写真】雰囲気ガラリ…19歳、「ギャル社長」時代の藤田さん。ガングロにド派手メイク、超ハイテンションで仲間と農作業する姿も
――「ご当地!絶品 うまいもん甲子園」はどんな大会ですか。
全国の高校生が地域の食材を使った料理で競う大会です。地元の食材を必ず使うこと、販売価格は800円までにすることなどが決まっています。今年で14回目になります。今はちょうど高校生が夏休みの時期なので、各エリアで選抜大会を開催しているところです。
――これまで開催してみたご感想は?
私はMCもやっていますが、年々レベルが上がっているのを実感しています。最初の頃、熱量が薄い子もいましたが、今は書類選考から大変なくらい熱い思いを持った高校生ばかりです。
――応募してくるのはどんな高校生ですか。
昔は農業科や調理科の生徒が多かったですが、今は普通科も含め、農林漁業や商業系など幅広いです。スポーツ系の子も応募してくれます。みんな本当に熱い思いを持っています。農家さんにインタビューしてから挑戦する子もいますし、とにかく取材力・リサーチ力がすごいです。
――審査はどのように行うのですか。
私は書類選考に関わり、大会本番は司会をしています。審査は協賛企業の方々や農林水産省の関係者、料理人の方にお願いしています。美味しい料理を作ったからといって、プレゼンが上手だからといって、必ず勝てるわけではありません。高校生らしさや準備の過程、想いが伝わるかどうかも大事です。
印象深い「闘牛ブリバーガー」
――優勝や準優勝の特典は何ですか。
優勝は農林水産大臣賞とグアム研修旅行や協賛企業からの様々な副賞で、グアム研修旅行では現地の学生と料理や文化の交流をします。準優勝も協賛企業からの副賞と合わせて長崎での研修旅行があります。また昨年は株式会社日本アクセスが準優勝チームのアイデアをもとに、おにぎりを商品化してパッケージも高校生が考えました。
――印象に残っている「うまいもん」はありますか。
例えば、島根県の隠岐水産高校の「闘牛ブリバーガー」。捨てられる牛肉の部位と魚のブリを掛け合わせて作ったアイデア料理です。味は魚だけど、食感は肉というユニークさで印象的でした。また、見た目はシフォンケーキなのに中に肉やわさびが入っていて“おかず”になる作品もありました。
――大変だった時期はいつになりますか。
立ち上げ期です。実績がなく応援も少ない中、農業高校に挨拶して回ったり、他のイベントとの調整をしたりするのに苦労しました。協賛企業は、最初は2社ほどでしたが、今は大手企業が多数入ってくれています。ありがたいのは、協賛企業同士がつながって「この大会はいいよ」と紹介してくれることです。
――卒業生との関わりはありますか。
1回目に出場した子たちはもう30歳前後。今でも連絡を取っていて、大会に遊びに来てくれる子やスタッフとして参加する子もいます。料理人になった卒業生も多いです。
――起業してどのぐらいになるのですか。
21年目です。人生の半分を費やしていて、考えると怖いですね(笑)。振り返ると、あっという間でした。「うまいもん甲子園」の大会回数を重ねるごとに「すごいね」と言われるようになり、続けることの大事さを実感しています。コロナの時も中止せずリモート開催に挑戦しました。結果、応募が増えたり、男の子の参加が増えたりと新しい風も吹きました。
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