甲子園が面白くなくなるピンチ!? 優勝校は関東と関西の「寡占状態」 沖縄尚学と県岐阜商が明けた“風穴”は広がるか?

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“新たな風”に期待

 県岐阜商もレギュラーメンバー全員が中学時代は硬式のクラブチームでプレーしていた。その多くが岐阜県や中日本エリアの選抜チームに選ばれた実績がある。

 なぜ、県内の有望選手を集めることに成功したのか。

 沖縄尚学は1999年春、2000年春と甲子園で優勝したことに加えて、多くの主力選手が東京六大学や東都大学に所属する大学に進学し、東浜巨(ソフトバンク)やリチャード(巨人)らプロ野球選手を輩出している。沖縄県内でライバルの興南に並ぶトップチームとしての地位を確立した。

 一方、県岐阜商は低迷期を経て、岐阜県内でナンバーワンの伝統校としての人脈を生かした。社会人野球をはじめ、中学野球、高校野球でも実績があるOBの鍛治舎巧氏を2018年から監督に招聘し“名門復活”を目指して、チームの強化に取り組んだ。鍛治舎氏は昨年8月末に監督を退任したが、学校やOBが一丸となって、甲子園で勝てるチーム作りを進めてきた。それが今大会で実を結んだ形だ。

 それに加えて、今年の甲子園には“新興戦力”が登場した。春の選抜では、沖縄のエナジックスポーツが創部3年で甲子園初勝利を飾ったほか、夏の甲子園では、プロ注目のエース、江藤蓮(3年)が率いる未来富山が初出場を果たした。

 関東や関西を除く地方の私学や名門公立高、そして新興校が甲子園大会で勝ち抜けるか。関東と関西の強豪校がひしめく甲子園に“新たな風”を吹き込んでくれるチームが登場することを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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