酒井法子か、松たか子か、「誰が歌っているのか?」と噂が噂を呼び…「ひだまりの詩」思わぬ大ヒットの裏側

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テレビ局に問い合わせ殺到

――ドラマでの扱いと、放送後の反響はどうでしたか。

 レコード会社の方からは「ドラマの中で1回流れればいいんじゃないか」ぐらいなことを言われました。最初の1、2話で「夕映え」が流れて……3話目ぐらいから「ひだまりの詩」が流れたら、テレビ局に“あの曲は何ですか”って問い合わせがすごかったと聞いて、びっくりしました。

――ドラマの主題歌は「ひだまりの詩」だと思っている人もいますが、チューリップの「サボテンの花」でした。

 普通、ドラマの途中で流れるのは“挿入歌”と言うんですけど、当時は“挿入歌”という言葉も使ってはいけないと言われまして……。いろんな事務所の俳優さんが出ているので、パワーバランスが色々あったんだと思います。

――“誰が歌っているのか?”という噂もあったそうですね。

 ドラマのエンドクレジットには、歌手名も入ってないんです。酒井法子さんのシーンの時に、テーマ曲のように流れていたんで、酒井さんが歌っているんじゃないかとか……(「2」から登場のヒロイン役の)松たか子さんが歌っているんじゃないかという噂が出ていて、それで火がついたんですよね。(ヒットは)青天の霹靂でした。

――180万枚の大ヒットですからね。

 でも、オリコンでは1位を取ってないんですよ。ずっと2位。でも有線では1位を取れたと思います。前に、全国全ての有線放送所を直接訪問したことが大きかったんです。皆さん親近感を持ってくださって、「ひだまりの詩」が出た時に、たくさんかけてくれて。皆さんの応援があったからこそだと思います。

――「ひだまりの詩」は主題歌ではなかったのですが、その後の「Sofa」は室井滋主演「心療内科医・涼子」の主題歌にもなりました。

 毎日のスケジュールに追いつくのが大変な中で「Sofa」はスウェーデンまでレコーディングに行きました。まだ曲も完成していない時に日本を出発、向こうに着いてから出来上がったのを聞いて歌詞をつけなきゃいけない。ホテルに閉じこもって歌詞を書いて、レコーディングして、戻ってくる……ずっとそんな感じで、ぐちゃぐちゃな日々でしたね(笑)。

宮川大助・花子が応援

――その年のNHK紅白歌合戦にも出場されました。これは、どんな経験になりましたか。

 夢のような、お祭りのような感じでした。当時は日本レコード大賞と紅白が同じ日に行われていたので、リハーサルや本番で行ったり来たりしていました。“今、私はシンデレラみたいなものだな”って、と思っていました。これが終わったら、夢が終わるんだ、という気持ちでしたね。

――その夢舞台で歌った時の気持ちはいかがでしたか。

 紅白歌合戦では冒頭、歌い損ねているんですよ。(夫婦つながりで)宮川大助・花子さんが紅組の応援をやってくださったんですが、それを見ていたら、イントロを聞き逃してしまったんです(笑)。

 というのも、イントロは紅白仕様で4小節くらいカットされていたんです。だから、緊張していたわけじゃなかったんです。同じレコード会社の先輩、谷村新司さんが「紅白には魔物がいるからね」と言っていましたが、本当なんだと思いました(笑)。最後に手を振る時も“夢が終わったな、来年からは、また現実の世界に戻るんだろうな”と思っていました。

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 第4回【「ひだまりの詩」大ヒットのウラで進んでいた危機 理想の夫婦はなぜ、離婚してしまったのか】では、藤田が自身の離婚について語っている。

藤田恵美(ふじた・えみ)
1963年、東京都清瀬市出身。幼少時から劇団に所属し芸能活動を続ける。1994年にLe Couple(ル・クプル)としてデビュー。1997年に「ひだまりの詩」が180万枚の売り上げを記録し、NHK紅白歌合戦に出場。2001年からソロプロジェクトを始動。アジア各国で洋楽カバーアルバムが「聴く薬」と呼ばれ45万枚の大ヒット。2012年にはリリー・フランキー氏の総合プロデュースによるオリジナルアルバム「花束と猫」で、日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞。2008年に愛知県の小学生と共につくった「OMOIYARIのうた」が全国の子どもたちに歌われ始め、2010年から全国を廻っている。

デイリー新潮編集部

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