「コンサル」が東大生の就職人気ランキングを席捲 元社員が「実は向いているのはホストみたいな人」と話す納得の理由

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 ここ数年、東大生の卒業後の進路として、コンサル業界が人気になっている。「東大新聞オンライン」によれば、2024年度卒の東大生の就職先(民間企業)は、学部卒/院卒とも上位にコンサル企業がランクインしている。こうしたトレンドは今後も続くと見られているが、いったいなぜなのか――。約30年間、大手コンサルファームの第一線で活躍してきた元社員は、コンサル業界の“働き方”が関係しているのでは、と分析する。

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“ディープダイブ”で効率よくキャリア形成

「東大新聞オンライン」の集計によれば、2024年卒の学部卒業者のうち、民間企業の就職先として首位だったのは三菱商事。2位にアクセンチュアと三井物産が同率で並び、4位にはEYストラテジー・アンド・コンサルティング、マッキンゼー・アンド・カンパニーとこれまたコンサル2社が同率でランクインしている。さらに院卒については、アクセンチュアが首位となっているのだ。

 さらには、就活サイトを運営する「ワンキャリア」が東京大学、京都大学に在籍する27年3月卒業見込みの大学3年生・大学院1年生を対象に調査した「就活人気企業ランキング」でも、人気トップ10のうち、実に7社がコンサルファームとなっているのである。

「確かにここ数年でコンサルの門を叩く東大生がぐっと増えた印象があります」

 そう話すのは、最近までシンクタンク系の大手コンサルに務めていたA氏(50代)である。

「私も興味があったので、会社の人事で採用担当者をやっている人間に聞いてみたのです。すると、担当者が話していたのは、一つの事業を展開する企業に就職して得られる経験よりも、コンサルに入って色んな会社の様々な案件をこなすことで得られる“経験”に魅力を感じて受験する東大生が多いと。なるほどな、と思いましたね」(A氏)

 それにはコンサル業界独特の働き方が関係しているという。

「例えば経産省の案件で、日本の得意分野を海外に売り込むプロジェクトに参画したとします。すると、その期間はその業界の事情にどんどん詳しくなっていきます。そのことを“ディープダイブ”と呼んだりする者もいるのですが、コンサルの仕事をやっていると、色んな企業や省庁で何度もこの“ディープダイブ”を経験することになるので、確かに手っ取り早く“経験値”を積めるという意味で、魅力に感じる東大生が多いのは頷けます」(同)

 つまり、学生たちの間でコンサルが「早く」「深く」「何度も」経験を積める職業と認識されているということらしい。

「そうして得た“促成栽培”的な経験が、きっと自分の武器になるだろうと。ある種の“ブーム”になっているんだと思います」(同)

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