「ドラクエ」「山本リンダ」「ピンク・レディー」…高校野球の応援ソングが中高年のハートを“狙いうち”する納得の理由

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日本の野球の文化として大切にすべき

 この歌はその後、中日の外国人選手の応援歌に受け継がれた。パウエル選手に使われるほか、中日のチャンステーマにも起用された、由緒正しい応援曲である。それを令和の高校生が使っているというのが、絶妙な渋さというか、オヤジ心をくすぐるのである。ピンク・レディーの「サウスポー」は王貞治選手をイメージしているが、これも定番の応援ソングだ。この2曲を最初に採用した若者の慧眼に感服する。応援曲としてとにかく気分が上がるのだ。

 思えばプロ野球もヒット曲を使う文化はあった。1985年、阪神タイガースのダイナマイト打線の1番・真弓明信選手の応援曲はなんと「ミッキーマウス・マーチ」だった。「真弓、真弓、ホームラン、真弓、真弓、ホームラン! かっとばせー、まーゆーみー!」というもので、応援団は両手に持ったメガホンを上下させ、腿を高く上げながら、観客席を横移動したのである。これは「真弓ダンス」と呼ばれた。大洋ホエールズ(現横浜DeNA)の「スーパーカートリオ」の一人、加藤博一選手の応援曲は「蒲田行進曲」である。

 MLB通の人々は「本場の野球は鳴り物もないし、応援団もいないから試合に集中できる」などと野球通ぶるが、高校野球における渋い選曲のブラスバンドと、プロ野球における一体感を得られる応援団の演出はそれはそれで日本の野球の文化として大切にすべきではないだろうか。

 尚、ドラクエシリーズの戦闘曲を採用するのであれば、ドラクエVIにおけるムドー戦の「敢然と立ち向かう」も気分が上がるなかなか良い選曲だと思います。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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