「長嶋さんの体にボールをぶつけてしまい、先輩から頭をゴツンと…」 立教大学OBが明かす長嶋茂雄さんの「プロデビュー前」の素顔
大量のリンゴを差し入れ
長嶋さんはプロ入り後も立教野球部との縁を大切にした。神奈川県の私立浅野高校出身で、長嶋さんの2年後輩となる諌山博義さん(87)によると、59年、阪神との天覧試合でサヨナラホームランを放ち、巨人を勝利に導いた後日、
「長嶋さんは大量のリンゴを持参して智徳寮(立教大学野球部の合宿所)を訪れた。“おい、みんな、これを食べろ”という調子で、30分程度旧交を温めた後、サッと帰っていきました」
宮崎県立宮崎大宮高校出身で、立教大学では長嶋さんの1年後輩の徳永定俊(88)さんにとって学生時代には遠い存在だった長嶋さんが、卒業後に身近になる。徳永さんは宮崎に帰郷し家業を継ぐが、巨人の宮崎春季キャンプで長嶋さんに声をかけると「おお、元気か」と懐かしそうな表情を浮かべてくれたという。
「私のことを覚えていてくれたことが何よりうれしく、以来、練習を見学する際には必ずあいさつさせていただくようになりました。59年には突然電話があり、休養日に宮崎の案内を頼まれたことがあります。快諾して私は、新婚旅行のメッカだった日南海岸周辺を2時間かけてドライブし、長嶋さんに喜んでもらえました」
脳裏に焼き付く「矢のような送球」
75年、長嶋さんが監督就任1年目の春には地元での講演も引き受けてくれた。徳永さんには立教時代が昨日のことのように目に浮かぶ。
「練習の締めくくりのシートノックは感動的でした。サードの守備位置につく長嶋さんの華麗なゴロさばき。捕球してからファーストへの矢のような送球は脳裏に焼き付いて離れません」
同時代を生きた後輩たちにとって、長嶋茂雄さんは敬愛すべき天性の大スターであった。
前編【「“お前もパンツ脱げ”と…」 長嶋茂雄さん、大学の後輩が明かす“特殊過ぎる”練習方法 「後輩にも“君付け”でイビリは絶対にしなかった」】では、後輩が明かした特殊な練習方法や天然エピソードについて報じている。
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