藤浪晋太郎と青柳晃洋は続けるか!? シーズン途中の“緊急補強”でクローズアップされた選手たち

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現役を引退

 衝撃的な緊急補強として今も記憶に新しいのが、2021年8月20日に発表された日本ハム・中田翔の電撃トレード劇である。

 東京五輪開催に伴うリーグ戦中断の影響で、トレード期限が8月末日まで延期された同年、暴行問題で無期限謹慎中の日本ハムの主砲・中田の無償トレードによる巨人移籍が決まる。

 同年の巨人は、5番を打っていた新外国人のスモークが家庭の事情で6月に退団帰国。リーグ3連覇を達成するためにも、一発のある中田は魅力だった。

 一方、日本ハムでは、中田の謹慎直後、栗山英樹監督が「正直、このチームでは難しいかなと」と移籍をほのめかしており、栗山監督から相談を受けた巨人・原辰徳監督が「まだ32歳、才能ある野球人である。過去、現在、未来すべてを共有する覚悟で、ジャイアンツとしてはもう一度チャンスを与えるべきだ」と新天地での再生を期待し、トレード成立となった。

 だが、「なぜ紳士の球団が暴力事件を起こした選手を?」という疑問に加え、移籍決定後、日本ハム側が中田の出場停止処分を実質10日で解除、巨人も翌21日のDeNA戦に中田を出場させたことにも、「早過ぎる」「野球界は甘い」とファンが猛反発。中田自身も周囲の風当たりの強さが重圧になったのか、移籍後は出場34試合で打率.154、3本塁打、7打点と低迷した。

 翌22年は打率.269、24本塁打、チーム2位の69打点と結果を出した中田だったが、中日移籍2年目の今年8月15日、腰痛再発を理由に今季限りでの現役引退を発表。引退会見前日には、自らのインスタグラムに日本ハムのユニホームを着て札幌ドームに立っている写真を投稿し、プロ野球人生をスタートさせた球団への並々ならぬ思いをアピールしている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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