「高齢化だけの問題ではない」公明党の参院選大敗にみる「宗教票」“終わりの始まり”
強まる「宗教アレルギー」
党勢が急減している理由はこれだけではない。
内部では若年層の動員に躍起になっているが、その効果は薄いと言わざるを得ない。
今回の選挙で公明党は、Radiant(輝く)、Integrity(誠実)、Community(地域社会)、Empower(力を与える)の頭文字をとった「RICE」という若者向けのスローガンを掲げ、これにプッシュされる形で、たしかに内部では一部の若年層が盛り上がりを見せていたのも事実だ。こんなに若い学会員が前面に出てくる選挙は珍しいと、私自身も感じたところである。
しかし、それで街頭演説の場でいくら熱狂していても、なにせ絶対数が少ない。傍から見ていると、その「熱狂ぶり」と「数の少なさ」の乖離は明らかだった。学会内部では、これまで幽霊会員状態だった若年層を動員することができたと喜ぶ声もあるようだが、高齢化による大量離脱に比べれば、焼け石に水でしかないだろう。
新たな会員獲得策も、うまくいっているとは言い難い。
党や学会が注力するYouTubeチャンネルには会員以外の視聴者も増えてきているように見えるものの、ネットやSNSが社会に浸透するにつれ、一般層の「宗教アレルギー」はそれ以上に強まっているといえる。
10~20代のごくごく一般的な若者たちから話を聞くと、創価学会を、統一教会どころか、オウム真理教と同じくらい過激なカルト教団だと認識している人も決して少なくない。ネット社会で宗教に対する批判が顕在化したことで、一般層は宗教団体そのものに嫌悪感を抱き、「怪しい集団」とひとくくりにしてしまうようになったのだ。
この壁は決して低いものではない。そうした現実を理解せずにひたすら拡大戦略に走っても、根本的な解決にはなりえないのは明らかだろう。
☆有料版の記事【組織票研究:公明党も立正佼成会も…参院選大敗が意味する「宗教票」“終わりの始まり”とその理由】では、以下のトピックについて詳述している。
〈有料版記事の主なトピック〉
■公明党のこれまでの党勢拡大は「政策」が支持されたからではない
■池田大作氏による“共通の敵”というKPI設定
■公明党以外の「宗教票」の推移
■「宗教票」の現在地






