「部員の“本籍”は愛媛県」 甲子園富山代表に選ばれたナゾ多き高校「未来高校富山」とは

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全校生徒24人のうち23人が野球部員

 夏の甲子園の出場校がすべて決まった。富山県では「未来高校富山」が名乗りを上げた。

 創部8年で、春夏通じて初出場となる同校野球部は、元ヤクルト・角富士夫内野手の息子の角鴻太郎氏が監督を務めていることで話題になっている。全校生徒数24人のうち23人が野球部員だというが、

「残り1人は4年生の元野球部員だそうですから、事実上、“学校イコール野球部”ですね」

 と、スポーツ紙記者が苦笑する。ただ、

「最速145キロ左腕の江藤蓮投手は、4番も務め、プロ注目の逸材。県大会では複数のスカウトが熱い視線を送っていました」

 部員23人のうち22人が県外出身者で、寮生活を送っている。“外人部隊”と批判することはもはや時代遅れかもしれないが、どうにも謎多き高校である。

通信制ならではの“強み”

「実は未来富山は、愛媛県松山市にある広域通信制『未来高等学校(以下、松山本校)』が全国に設置している学習支援施設の一つ『富山中央学習センター』のこと。したがって、野球部員の“本籍”は松山本校にあります。ちなみに、松山本校には卓球部やバスケットボール部などがありますが、野球部はありません」

 ……という話を聞くと、ある疑念が浮かぶ。

 周知の通り、愛媛県は松山商や宇和島東、済美などの伝統校がひしめく野球強豪県。春は4回、夏は6回の優勝を果たし、その回数は全国8位である。一方、富山県の代表校は春夏共に優勝経験がないどころか、通算勝利数は全国46位に低迷している。

 もしかして、野球部を切り離して、愛媛県から富山県に引っ越しさせた?

「それは何とも言えませんが、全国ネットワークを持つ通信制ならではの強みではありますね。同校の野球部は沖縄にもあり、現在は『KBC高等学院』と称して沖縄県予選に出場しています。甲子園出場こそないものの、2人のプロ野球選手が輩出している。両チームが合体すれば、もっと強いチームがつくれそうです」

 松山本校に取材を申し込んだが、残念ながら応じてもらえず。

 モヤモヤが残るけれど、富山県勢初の優勝を目指して健闘を祈りたい。

週刊新潮 2025年8月7日号掲載

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