本人の意図や計算を超えて「笑いが生まれてしまう」 人気が再燃している「狩野英孝」の魅力
芸能界に強い憧れ
狩野はもともと熱烈な芸人志望というわけではなく、芸能界そのものに強い憧れを持っていた。学生時代には歌手として路上ライブを行っていたこともあった。そんな彼はお笑いライブを見たことがきっかけで芸人の格好良さに目覚めて、お笑いの道に進んだ。
ホスト風の格好で「ラーメン、つけ麺、僕イケメン」といったフレーズを放つナルシストキャラで大ブレークを果たしてからは、その自意識過剰ぶりと内面のポンコツ具合のギャップが面白がられて、どんどん仕事が増えていった。バラエティの企画がきっかけで「50TA」名義でアーティストとして活動を始めたが、それもいつの間にか彼の本業の1つになっていった。もともと「芸能人」を目指していた狩野は、芸人という肩書に縛られることがなかったのだ。
自らのスキャンダルで窮地に陥った際にも、記者会見で間の抜けたコメントをして話題になったりした。どう転んでも憎めない彼のキャラクターが改めて認知されることとなり、そこから「イジられ役」「天然キャラ」としてのポジションをますます盤石なものにしていった。
視聴者や共演者が狩野に対して持っている印象は「バカだけど悪気がない」「ダメだけど真面目」「ツッコまずにはいられないけど、放っておけない」といったものだろう。彼がどんなに間の抜けたことをしても、どこか一生懸命で、真剣さが伝わってくる。その不器用さが、人々の笑いと同時に温かい感情を呼び起こす。
結局のところ、狩野英孝の根強い人気の根底にあるのは「弱さの肯定」である。普通であれば恥ずかしくて隠したくなるような部分を、彼は無防備なままさらけ出す。そしてそれを他人に指摘されても素直に笑い、受け入れる。そんな彼の姿勢が、「完璧でない人間」のままで生きていくことの希望となり、見る者の心をつかんで離さないのだ。









