福祉を守るために移民を排斥する…「石破自民」大敗と「参政党」躍進で始まる「右と左のポピュリズム」が溶け合う日本の未来
右と左のポピュリズムが溶け合う未来
昨年、石丸伸二氏が大きな話題になりましたが、都議選でも参院選でもまったく票が集まりませんでした。SNSは盛り上がるのも早いけれど、飽きるのも早いので、参政党のプロモーション戦略がどこまで持続できるのかわかりません。しかし、SNSやAIのテクノロジーを使ってひとびとの不安感を投票行動に結びつける方程式が分かってしまった以上、かりに参政党の人気がなくなっても、同じような(あるいはさらに過激な)政党が登場するのは間違いないでしょう。
では日本は今後どうなっていくのでしょうか。
オランダやデンマーク、スウェーデンなどはどんどん「右傾化」し、移民に対して厳しくなっていますが、その一方で社会保障などのリベラルな政策は維持されています。しかしこれは、「(自分たちの)福祉を守るために移民を排斥する」と考えれば、なんの矛盾もありません。
ヒトは進化の過程で、集団を「俺たち」と「奴ら」に分割する強い認知バイアスを脳に埋め込まれました。参政党の「日本人ファースト」が共感を呼んだのは、(違法)外国人を「奴ら」として排除したうえで、日本人同士助け合いましょう、困っているなら手を差し伸べましょうという「福祉(ばらまき)」政策を唱えたからでしょう。これは、欧米でいまや主流になりつつある「福祉排外主義」の日本版で、海外の動向をよく研究しているなと思います。
とはいえ、全国知事会が外国人受け入れの拡大を国に求めているように、人口減の日本では外国人労働者に頼らなければ社会も経済も回りません。こうして、排外主義的な雰囲気のなかで外国人が増えていき、社会はよりぎすぎすしていく。その結果、右と左のポピュリズムが溶け合う未来が待ち受けていると予想しておきましょう。




