セ・リーグ新人王レース 阪神・伊原陵人がリードも…未勝利の中日「金丸夢斗」が猛追!? 球団関係者は「1つ勝てば、一気に勝ち星を重ねてくれる」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

全体的に低調な印象

 前半戦最後の登板となった7月21日のDeNA戦でも、プロ入り後最長となる8回を投げて1失点と見事なピッチングだった。チームも前半戦終盤に7連勝を記録したほか、メジャー通算42発の新外国人・チェイビスが後半戦から加入するなど、得点力の強化が見込める。金丸が、ここから一気に伊原を追い上げることも期待できそうだ。

 リリーフでは、ヤクルトのドラフト3位ルーキーで、左腕の荘司宏太と、育成ドラフト出身で支配下登録されて4年目のDeNAの右腕、宮城滝太が存在感を示している。

 荘司は開幕一軍入りを果たすと、デビューから12試合連続無失点を記録。5月に一度コンディションを崩して二軍で調整となったが、6月14日に一軍復帰を果たすと、前半戦は22試合に登板して12ホールド、防御率0.79と抜群の安定感を誇っている。

 一方の宮城も、開幕から12試合連続無失点を記録するなど、登板した29試合中25試合が無失点で防御率は1.14をマーク。勝ちパターンでの登板は多くないが、安定感はチームの中でも上位だ。

 先発に比べると、リリーフはどうしてもインパクトが弱くなり、新人王争いでは不利だが、2人ともチームに欠かせない戦力となっていることは間違いない。

 一方の野手は、投手と比べると有力候補は少ない印象だ。その中で、後半戦に期待したい選手が、3年目のDeNAの捕手、松尾汐恩だ。

 大阪桐蔭から2022年のドラフト1位で入団すると、1年目から二軍のレギュラーに定着。今年は初めて開幕一軍入りを果たすと、3月30日の中日戦でプロ初ホームランを放つなど、前半戦は56試合に出場して30安打、3本塁打、12打点、打率.242とまずまずの成績を残している。豪快なスイングが持ち味だが、それでいながらミート力もあり、三振が少ない。

 守備面でも、たびたび盗塁を阻止しており、その強肩は一軍でも目立つレベルにある。山本祐大や戸柱恭孝とった実績のある捕手がいるため、どうしても出場機会が限られる。だが、山本が昨年と比べて、大きく成績を落としており、松尾に与えられるチャンスが増えそうだ。後半戦にさらに成績を伸ばせば、逆転での新人王が視野に入ってくる。

 今のところ、伊原が頭一つ抜けていることは確かだが、パ・リーグと比べると全体的に低調な印象は否めない。それだけに、今回名前を挙げた以外からも、ここから強烈なアピールを見せる選手が出てくることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。