トランプ政権「不法移民対策」への支持が下がる切実な事情 政策めぐる不評を巻き返せなければ「選挙制度」にも“強権”か

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インフレ期待が長期金利に影響

 パウエル氏が解任されるかどうかは定かではないが、政策金利を1%に引き下げた場合、米国経済にどのような影響が出るのだろうか。

 過去、政策金利が1%に引き下げられたことは何度もあった。ただし、失業率が6%以上になるなど、いわゆる不況下でのことだった。米国の失業率は4.1%と最低水準にあり、現行の政策金利(4.25~4.50%)を引き下げる必要性は見つからない。

 一方、FRBが注視していたインフレに再燃する可能性が生じている。ここに来てトランプ関税の悪影響が顕在化しつつあるからだ。

 トランプ氏が求める利下げをめぐっては、サマーズ元財務長官が18日、インフレ期待の高まりを招き、長期金利を押し上げる恐れがあると警告を発した。

 政府の借り入れコストを減らす企みが、逆にコストの拡大につながるというわけだ。長期金利が上昇すれば、ローン金利の負担が増大し、住宅市場も打撃を被る。

トランプ政権の「強権」は選挙にも?

 得意の経済面で実績を上げることができなければ、来年の中間選挙で共和党は敗北し、トランプ政権は早期にレームダック化してしまう。

 トランプ政権は強権的な手法でしか事態を打開することはできないのかもしれない。司法との対立を深めるトランプ政権が「法の支配」を揺るがせているとの批判が出ているが、筆者は「選挙制度にまで介入するのではないか」と考えている。

 米紙ワシントンポストは16日、トランプ政権の動きが選挙当局の懸念を呼んでいる状況を報じた。一部の州から有権者のデータを入手し、さらには投票機器に検査に動く気配があると。

 トランプ政権の意図は明らかになっていないが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のマーク・ピーターソン教授(政治学・法学が専門)は、トランプ氏は大統領令を発令して、次の中間選挙で共和党が勝利できるよう、選挙制度の運用を変えるのではないかとかねてより警戒している。

 にわかには信じたい話だが、現下の情勢に照らせば一笑に付すことはできないと思う。トランプ氏の言動について今後も最大の関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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