プロ野球、真夏の珍事件集 意外と知られていない…「ヘディング事件」と「ベンチがアホ事件」は同じ日に起きた!

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 真夏の夜の珍事と言われるように、夏は思わぬ珍プレーや珍事が多く見られるイメージがある。過去に本当にあった真夏の珍事件を紹介する。電柱に登ったアオダイショウが試合を中断させる珍事件が起きたのが、1982年7月8日に岡山県野球場で行われた広島対阪神だ。【久保田龍雄/ライター】

蛇神様をお呼びしろ

 5回を終わって0対5と一方的にリードされていた阪神は、6回に代打・永尾泰憲の2点タイムリー三塁打など4長短打を集中して、1点差に詰め寄ったが、その裏2点を奪われ、4対7と苦しい展開が続く。

 アクシデントが起きたのは、7回の阪神の攻撃中だった。広島の2番手・古沢憲司が先頭の佐野仙好に対し、フルカウントから6球目を投げようとしたとき、突然6基の照明灯が消え、場内は真っ暗になってしまう。降りしきる雨のなか、選手の立っている姿がかろうじて見分けられる程度。これではプレーができない。

 水銀灯を再点灯させ、明るさを取り戻すまで両軍ナインはベンチで待機し、試合は18分中断した。

 そして、この中断が試合の流れを変える。佐野は2球ファウルと粘ったあと、四球で出塁。掛布雅之も安打で続き、1死後、藤田平四球で満塁とすると、ジョンソンのショート後方にポトリと落ちる幸運な2点タイムリーで再び1点差に。

 さらに、若菜嘉晴の同点タイムリーと真弓明信の遊ゴロ併殺崩れの間に8対7と逆転。なおも連続四球による押し出しで1点を加え、9対7で勝利した。

 鮮やかな逆転勝ちで3連勝を記録し、貯金を「4」とした安藤統男監督は「(7回は)ベンチでは『3点差でもイケる』と声が出ていた。でも、5点を取るとは、オ・ド・ロ・イ・タ・ネ」と信じられない様子だった。

 その後、停電は、市内の電柱にアオダイショウが登り、送電線に絡みついたことが原因と判明。“蛇神様”の御利益にあずかる形となった阪神は、次戦以降、形勢が悪くなるたびに、ベンチから「蛇神様をお呼びしろ」の声が上がった。しかし、その甲斐もなく、7月10日から8連敗を喫し、あっという間に“借金生活”に逆戻りとなった。

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