儲からないから日テレもTBSもやらない「再放送」 フジ、「ワイドショー」に切り替えて成功するのか
フジの午後帯の深刻な不調
一方、フジは個人視聴率が導入された2020年度から6年度連続で年度視聴率が4位。それより下なのは会社規模の違うテレビ東京だけである。
フジの足を引っ張っているのは10月から「とれたてっ!」が加わる午後帯だ。その入り口である「ぽかぽか」(平日午前11時50分)は世帯視聴率が深刻なまでに低い。
毎回2~3%。同じ時間帯で4位。放送開始から2年半が過ぎたが、数字はほとんど伸びていない。
7月7日放送の「ぽかぽか」は世帯視聴率が2.4%。これに対し、トップのテレ朝「大下容子ワイド!スクランブル」(平日午前10時25分)は5.6%。ダブルスコアで敗れているのである。
NHKの調査によると、視聴者は2時間30分の間に平均3.5回チャンネルを変える。しかし、15%の視聴者は1度もチャンネルを変えない。14%の視聴者は1度しか変えない。意外なくらいチャンネルは変えられないのである。
だから午後帯の入り口の「ぽかぽか」が低視聴率だと、後続番組も不利になる。しかも午後帯はゴールデン帯(午後7~同10時)よりチャンネルを変えない視聴者が多いとされている。入り口番組の長期低迷はかなり痛い。
「ぽかぽか」の不振は後続の「ハッピーアワー」の低視聴率に関係しているに違いない。さらに「ハッピーアワー」の不調はそれに続くニュースワイド番組「Live News イット!」(平日午後3時45分)の低視聴率に影響を与えているはず。フジの平日午後帯では負の連鎖が起きている。
「イット!」は午後7時までの3部構成だが、どの時間帯の視聴率も他局にかなり差を付けられての4位。たとえば7月11日午後3時45分からの「イット!」の1部は世帯視聴率が1.9%にとどまった。
他局は日テレ「news every.1部」が同4.8%、テレ朝「スーパーJチャンネル 1部」が同5.4%、TBS「Nスタ 0部」が同3.6%。「イット!」の1人負けだ。
「ぽかぽか」「ハッピーアワー」「イット!」の午後帯勢が、揃って弱い。これではゴールデン帯など夜の番組が高視聴率を得ようが、全日視聴率(午前6~深夜0時)を上げるのは難しい。
「ぽかぽか」は港浩一前社長(73)の肝煎りで始まった。「笑っていいとも!」(1982~2014年)の再来を狙った。港氏の後ろ盾があるから、低視聴率でも終わらなかった。
だが、視聴者側が「いいとも」の時代とは変わっている。「いいとも」が始まった1982年の高齢化率(全人口の中で65歳以上が占める割合)は9.1%だったが、2023年には29.3%になった。3倍である。
午後帯は特に視聴者の年齢が高い。現役をリタイヤした人がテレビを観ている。ブラックユーモアやナンセンスギャグもある「ぽかぽか」が大歓迎されるとは考えにくい。
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