「ワンカットで目に涙を溜めた」…死去から14年、無頼派俳優の元祖「原田芳雄」が見せた“生々しい存在感”
死去前年の12月末は普段どおりの様子だった
遺作となった映画「大鹿村騒動記」のロケを、昨年11月に長野県大鹿村で行った。原田が撮影スタッフと共に滞在した旅館「山塩館」の主人はこう振り返る。
「原田さんは腰が痛いとおっしゃられ、奥様とマネージャーがそばについていました。長時間立っていられないので、専用のディレクターズチェアで休んでいたのです」
原田は2008年に大腸がんの手術を受け、復帰後のインタビューでは「もう大丈夫だ」と語っていた。原田と親交があった作家の松田美智子さんが言う。
「最後に会ったのは昨年の12月末、原田家での恒例の餅つき大会でした。その時にはお元気で、髪の毛もあって、普段どおりのご様子でしたので……」
だが、7月11日、「大鹿村騒動記」の舞台挨拶に車椅子姿で現われた原田を目にした演劇関係者は、「腸閉塞や肺炎などと説明されましたが、誰も信じてはいませんでした」。
享年71。早過ぎる死が惜しまれる名優だった。





